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物体X(オリジナル)
私は「それ」の襲来を受けた。
「それ」は新しい時代を私に予告する。
新聞配達が世界中の家庭のポストに、
「それ」を毎朝、同じ時刻に届ける。
人々はその紙面を通して、
地球の裏側の出来事を知る。
私はトルコでの大地震や、
ウクライナ支援の価値を知った。
「それ」は私に見せるーー
新しい時代を。
私はCEOを解任された男を見た。
FRBによるFOMCでの採択を聞いた。
私はボディーガードが護衛する中、
撃たれた政治家を見た。
私は砲撃された車の横に佇む男を見た。
彼は妻と3歳の息子を失った。
その背後に戦車の上で戸惑う若者を見た。
私は自由を脅かされている人々を見た。
「それ」は私に伝えるーー
新しい時代を。
私は森から焼け出されたコアラを見た。
私は傷ついた珊瑚を南の島で見た。
私は砂漠にできた衣服の山を見た。
私はアマゾンで焼失した木の数を知った。
世界は幾層にも積もった問題を横目に、
未来へと突き進んでいる。
政治、宗教、哲学、そしてアートは、
「それ」を解明しようと「発生」する。
そして、私も生きているーー
新しい時代を。
私は異なる時代の同じ過ちを見た。
歴史を繰り返す「それ」を、
読み解こうとする人間の脳にとって、
地球とは惑星ではなく、本棚の片隅なのかもーー
私は「世界の謎」の襲来を受けた。
それは新しい時代を私に予告する。
明け方の空はまだ月を抱えている。
私はインクの香りを私の詩の中に吸い込み、
ーー生きていく、日常を、
今、今、今を。