害虫か益虫か。それは問題…か?
庭で好きな植物を育てていると、虫との関わりは切っても切り離せないものだ。
幸い私は子供の頃から虫が好きだったので、アブラムシを手で潰すとかイモムシを捕まえることに抵抗はない。
そして庭で虫を見たら駆除する。それが当たり前だと思っていた。
ガーデニングを始めて間もないある日、鉢植えの葉の上に見たこともないグロテスクな虫を見つけた。
手を伸ばしかけて、おや、と思う。葉っぱに食べられた痕跡はない。
じゃあ、だよ。
この虫はなんのためにここにいるの?
一旦部屋に戻り、あの虫は何か調べてみることにした。
どうやらヒラタアブの幼虫であることがわかった。
ヒラタアブの幼虫は肉食で、なんとアブラムシをエサにするというではないか。
今までアブラムシを食べる虫はテントウムシしか知らなかった。
えっ。他にもアブラムシを食べてくれるようなありがたい虫はいるんだ!
そこで私は「益虫」と言われている虫の存在を知るのである。
クサカゲロウの幼虫もアブラムシをエサにする。
アブラバチはアブラムシに寄生して動きを鈍くさせる。
イモムシをコネコネとダンゴにして子育てをする肉食のハチなど。
ここで、ハタと思う。
私が愛してやまないアゲハチョウの幼虫。アシナガバチや鳥たちは
このイモムシをエサにするし、ヤドリバエなどが寄生することも多い。
みかん農家では、アゲハチョウは害虫であることは間違いない。
でも、私の庭ではアゲハチョウを呼ぶ為、食草としてサンショウの木を植えている。
私からすると、アゲハの幼虫を食べてしまうアシナガバチは害虫?益虫?
その概念って誰が決めたんだ?
わからなくなってくる。そもそも益虫と害虫なんて名前の虫はいないんだ。勝手に人間が決めているだけ。
この世界はみんなそう。良いとか悪いとか決めているだけ。ジャッジする必要はないんだ。
虫の世界はすごい。
どんな虫でも、食べたり食べられたりするものがいる。
だから自然は人間が余計なことをしなくてもある程度整っているものだと気付いた。
「益虫」だから大事にして「害虫」だから駆除してもいい、という概念はもうやめた。(とはいえ益虫と思われる虫はとても大切にしているが)
みんな庭の仲間。時々ちょっとだけバランスをとらせてもらう。
これは私のエゴと承知のうえでバラの新芽につくアブラムシやバラゾウムシを駆除する。好きなバラを咲かせたくて、自然に反して植えているようなものだから多少コントロールは必要と思っている。
植物が定着していくにつれて生態系は日々変化していく。いつかコントロールしなくても、満足のいく景色が見られるようになったら。それが最終目標であり、私がエゴを捨てた時なのかもしれない。