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本で夢見た屋久島へ、縄文杉と千年の時を刻む原生林を巡る旅 -前編-

今年、念願の屋久島旅行が叶いました。

屋久島は一冊の物語がきっかけで、ずっと前から行ってみたいと思っていた特別な場所。

きっかけとなった物語

その本は恩田陸さんの『黒と茶の幻想』。
物語の中の四人の男女が織り成す会話劇に、屋久島の美しい自然が重なり、私も屋久島にいつか訪れたいと思うように。

恩田陸さんの登場人物たちの会話ってなんでこんなに魅力的なんでしょうか?ぜひ一度読んでみてほしい美しく苦いミステリー小説です。

他にも屋久島についての本を読んでいて、森絵都さんのエッセイもお気に入り。


エッセイについてはこちら👇


屋久島へ出発

伊丹空港から屋久島へ直行便があったので、今回は大阪から出発。

飛行機に乗る前に食べた、りくろーおじさんの焼き立てチーズケーキはふかふかで幸せなお味。

ハンバーガーみたいに食べるケーキ


屋久島には、小型のプロペラ機で向かいます。

屋久島は1か月に35日雨が降ると言われるほどの雨の島。

天候が悪く、飛行機や船の欠航はよくあるそうで「呼ばれた人しか行けない」のだとか。

今回も少し怪しかったけれど、無事到着できました。

こじんまりとした屋久島空港

宮之浦の観光

1日目はお昼過ぎに到着し、屋久島の中でもお店が立ち並ぶ宮之浦へ。

南国らしさのある木

屋久島は、世界有数のウミガメの産卵地らしく、屋久島ウミガメ館にも行ってきた。

本物の甲羅も背負えます
地面にもウミガメ


近くに神社があるということで、向かうと真っ白の鳥居が見え、どこか神聖な空気が漂っている。

古くからある益救(やく)神社は、境内にヤシの木も生えており、南国が混じりあう不思議な雰囲気の場所だった。

夜ごはんは、新鮮な魚が食べられる定食が有名な潮騒へ。

お刺身と、屋久島名物トビウオのから揚げがとっても美味しい。

明日の早起きに備えて早めに寝ようとしたけど、なかなか寝られず朝を迎えることに...


縄文杉を目指すトレッキング

最初のトロッコ道

早朝(というかもはや深夜)の3:30に起床し、トレッキングツアーのバスに乗って登山口まで向かう。

縄文杉を見に行くには、往復10時間以上かかるコースになるため、早朝から歩き始めないといけない。

登山口で朝ご飯のお弁当を食べ、5:50にトレッキングをスタート。

最初はトロッコ道が約8キロ、3時間ほど歩き続ける。この道は、かつて山中で伐採した木々を搬出するために使用されていたものだ。

ところどころ木の板が朽ちかけているので、踏み外したりしないよう、下をよく見ながら歩かないといけないのが意外と大変。

昔に伐採された跡の大きな切り株
小杉谷小中学校跡で休憩


トロッコ道が終わると、いよいよ本格的な登山道になり、周りの風景もガラッと変わる。

トロッコ道が引かれていたところは、50年ほど前までは伐採されていた区域なので、実はまだ新しくできた森。

その奥へと進んでいくと、樹齢千年を超えるような木々が並ぶ、昔から変わらない大自然が広がっていく。

悠久の時を感じる森

仁王杉

トロッコ道が終わってすぐに現れる、推定樹齢3千年の仁王杉

堂々とそびえ、大きなコブがついていてかなり迫力がある。


ウィルソン株

ウイルソン株は中に入って上を覗くと、ハート型に見えると有名な切り株。

推定樹齢3千年の屋久杉の切り株で、中は人が10人くらいは入れそうなほど大きい。


夫婦杉

3mほど離れた2本の枝が繋がっている姿が、寄り添う夫婦のように見える夫婦杉

寄っていて分かりにくいけど、どちらもかなり大きな木。

大王杉

こちらは大きな割れ目が特徴的な大王杉
縄文杉が知られるまでは、最大の屋久杉といわれて「大王」の名がつけられたそう。

こんな風に触れられる距離に立つ巨木もあって、歩いていて本当に飽きない。

縄文杉までの道のりは長く、往復10時間以上の過酷な体験。けれど、圧倒されるほど美しい大自然には、何度でも訪れたくなる魅力がありました。

ついに縄文杉へ

お昼は川のほとりでお弁当を食べて、いよいよ縄文杉がもうすぐの所までやって来た。

縄文杉まであと少しというところで急に霧が立ち込め、どこか幻想的な景色に。

雰囲気は抜群だけど、肝心の縄文杉も霧でもやっとかすんでしまっている。


どうにか霧が晴れてくれないかと、少し待っていると...


いきなり霧がすっと引いていき、巨大な縄文杉がはっきりと目の前に現れた。

縄文杉は現在確認されている最大の屋久杉で、樹齢は推定2千年~7千年ほど。保護のためあまり近くに立ち入ることはできず、少し遠くから眺めることになる。


遠くなる分、実際見てみるとこんなもんか、、と思う人もいると聞いていたので、縄文杉に対して実はそこまで期待値は高くなかった。

しかし、今まで見てきたどの杉よりも大きくそびえ立つ姿は、やっぱりここまで見に来てよかったと思わせてくれるような存在感のある木だった。


帰り道に出会ったもの

根が真上に生えているように見える、逆さ杉
通称「メドゥーサ杉」とも呼ばれている。

恩田陸さんの小説にも出てきた重要な杉だったので、これがあの杉か!と嬉しくなった。

見事なS字カーブ
龍の頭にそっくりな木

帰り道は、夢に出てくるんじゃないかと思うくらい、永遠と続くトロッコ道が嫌になってくるけど、木漏れ日がきらきら光って綺麗でした。

途中、ヤクザルとヤクシカにも出会えた。
屋久島のサルとシカは、本島よりも少し小柄なサイズらしい。


10時間のトレッキングを終えて

今回はガイドさん付きのツアーに参加していて、メンバーは20代〜50代のあまり運動経験のない5人。

ガイドの方は、屋久島の大自然に惚れて移住され、何百回と縄文杉のコースを登っているような方だったので、全員にとって無理のないペースを守りながらゆっくり進んでくれた。

ガイドさん曰く、「山道を歩くときは小さい歩幅で、ペースを一定にして少しゆっくり歩く方が疲れにくい

本当にその通りで、2~3時間の登山をした時よりも、不思議と疲れにくく、安心してコースを歩き切ることができた。

さすがに、膝やアキレス腱への負担は避けられず、痛み止めの薬を飲みながら2日目は歩くことになったけど...

2日目は白谷雲水峡を訪れ、そちらも素晴らしい場所だったのでまた次回に。

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