モンテ・クリスト伯感想 25
※ネタバレ含みます。
父と娘。
時間を巻き戻し、ダングラール邸。
突然の娘の呼び出しに、憮然として客間で待つダングラール。
ダングラールにとって、破産を逃れる唯一の術が娘の結婚だった。
しかし、ユージェニーは結婚しないと断言する。
父を侮辱する娘と、そんな娘を殴り倒したい衝動にかられるダングラール。
仮面の家族は人生の岐路に、互いを侮辱し不満をぶつけ合う。
「自分は誰からも愛されなかった!だから、誰も愛さない!」
悲痛な娘の告白に対し「それでは私を破産させるのか!」と怒りをあらわにする父親。
お互いの苦しみに思いやりのカケラもなく、全く噛み合わない対話。
金で買った愛の無い家庭に、苛立ちと憎しみばかりが募る。
幸福とはなんだろう。
人は心が満たされなければ、幸福になれない。
幸福とは自分が存在する意味を体感できるかどうかでもある。
使命感というのだろうか。
例えば、家族の為、自分を必要としてくれる人の為、可愛がっている猫の為、育てている野菜の為といった自分の命を燃焼させ、生きなければならないと思える「何か」がある人。
それを手にしている人は幸福だ。
それは強制でも義務でもない、ありのままの欲求だ。
満足と充実感を感じる行動だ。
どこまでも自分らしく、自分が成すべき事を成して「生きる」。
それは言い換えれば、木が木としての使命を果たす事であり、虫が飛び交い、鳥が歌う事でもある。
川が流れ、雨が降り注ぐ。
タンポポが綿毛を飛ばし、私が仕事をする。
それぞれが誰に気兼ねする事もなく、生き生きと自分の特質のままに生きる事で世界は回る。
何か1つ欠けても世界は崩壊してしまう。
この「かけがえのない命」に満たされた世界、その中のひとつの命が自分だ。
逆を言えば、それほど無数の生命に支えられ生きているのだから、自分も何かをしなければならない。
生き生きと自信を持って自分らしく生きなければならない!
迷いも疑問も不安も抱かず、生き生きと生きて、活躍しなければならない!
目の前の困難に正面からぶつかり、のりこえなくてはならない!
それがこの世に生まれてきた使命ではないか。
そう思う。
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モンテ・クリスト伯感想
モンテ・クリスト伯の感想です。 1巻から7巻まで、感想と個人的な思索をまとめました。
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