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『ノラら』の あらすじ

『ノラら』は、三章からなる長編小説です。

一の章:紗英から見た世界(全15回)
二の章:堀戸から見た世界(全30回)
三の章:吉岡から見た世界(全●●回)


【全体のあらすじ】
大学を中退し、社会に出てからも仕事が長続きせず、
親のすねをかじりながら生活する紗英。
だが両親の死をきっかけに、生まれ育った田舎を出て
別の街で暮らすことを決意する。
紗英が派遣された新たな勤務先では、
嘱託として勤務する三十になる堀戸と、
正社員として働く四十代の吉岡の二人と親しくなる。
三人の共通の趣味である音楽鑑賞を通して、
職場以外での交流も深めていく。
三人の音楽の共有が深まるにつれ、
新たに発見され始めた各々の感性にまで
お互いが向き合うことになっていく。

堀戸は、職場で開発中の超新蝶の飛翔技術や
飼育ポットの室圧研究に勤しむ中で、
蝶に惹かれ続ける自分の情熱とは比例しているとは思えない
職場からの自分に対する評価とのギャップに違和を感じ始める。
そんな中で、
幼少期に蝶を通して体験した
一種の一瞥体験を回顧しつつ、
また、親元から離れて暮らし始めた
共同アパートでの住人たちとの触れ合いも通して、
「自分」というものが存在する意義とは何かを見つけていく。

吉岡は妻と離婚して以後も、自己否定感から抜け出せずに
白黒の世界を生きていたが、紗英との出会いをきっかけに、
本来の明るさを取り戻していく。
若い紗英と堀戸のジェンダーレスな仲の良さに嫉妬しつつも、
二人を後輩以上の大事な存在として可愛がる。
だが、吉岡に訪れたそんな平穏な日々も、
紗英や堀戸の変容に挑発されるかのように
新たな展開を迎えていく――

自然界のハーモニー(音楽)に包まれながら、
蛹から成虫へと変容する蝶のように、
三人の野良人間達(ノラら)から見えているそれぞれの世界は、
特異な音楽(ハーモニー)をまといながら、
変容を遂げていくことになる――




【作品に対する今の思い】
多様性を謳う“ネット記事”や“音楽”などが一世を風靡するも、
清潔を装う現実社会では、建前だけ一丁前で、
本音はまだまだ「こうであらねばならない」がそこらじゅうに
蔓延しているように見受けられます。
マイノリティという言葉を作り上げてしまうことになった社会の中で、
ともすれば世間から清潔な布を被せられて、
目に見えぬように隠されてしまいそうな人びとの日常を描きました。
紗英や堀戸や吉岡が、
それぞれの人生を不器用にも無防備なまま生き抜いていく姿が、
誰かのこころのアンテナに届いたなら、それは本望です。



【YouTubeで聴く】『ノラら』紗英から見た世界の再生リスト


【YouTubeで聴く】『ノラら』堀戸から見た世界の再生リスト





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