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タイ産良作ホラー | 映画「バーン・クルア 凶愛の家」感想

⚠️ ネタバレってほどはしてませんが軽く内容に触れてます。

 何となく劇場の予定をチェックしていたら見つけたタイの映画。予告編が結構面白そうで、見たかったんだけど、SNSでは全然話題になってなくて、はて、どんなもんだろうと思っていた。ボクはある程度のネタバレなしの感想を読んでから、見に行くか決めることが多いんだけど、仕方ないので自分の目で確かめることにした。

あらすじ

ニンとクウィンは7歳の娘インを持つ夫婦。3人は経済的理由から、家を元々医者だったラトリーとその40歳の娘ヌッチの二人の親子に貸し出し、家族でマンションに移り住むことを決めたのだった。
ラトリー親子がニンとクウィンの家に引っ越してきた後、次第にクウィンが奇妙な行動をとり始める。クウィンの不気味な行動に気付いたニンは不安に感じるが、夫がなぜそのような行動をとるのか探り始める。クウィンは、ニンに気づかれまいと秘密を抱えるようになり、毎朝午前4時に外出するようになった。だが、ニンはそれに気付き、クウィンにヌッチと同じデザインの三角形のタトゥーがあることを突き止める。
夫の行動がますます不気味になる中、ニンは娘が見えない邪悪な力に狙われていることに気付く。
ラトリーとヌッチはカルト集団のメンバーであり、彼女たちからある見返りを得ることを引き換えに、クウィンはカルト集団に入ってしまったのだった。彼女たちはクウィンを邪悪な計画の一部に引き入れ、その計画に娘が必要になるとクウィンを操ろうとする。カルト集団の行動が次第に過激さを増していく中で、カルト集団から、そして自分の夫からも、どのような手段を使ってでも娘を守ろうと決意をする。

公式HPより

 あらすじ細かいねえ。もうちょっとシンプルにした方がいいような気がする。

タイトルどうなの?

 あまり本筋ではないんだけど、この映画の邦題ってどうなの? バーン・クルアってタイの言葉なのかな? とりあえず何言ってんだかわかんないよ。ホラーかどうかもわからない。宣伝しまくってる大作ならいいけど、全然宣伝してないこの映画でこのタイトルはホラー映画好きな人もあまりたどり着けないと思う。凶愛の家もホラーかどうかは判断できないし、凶愛の家+サブタイトルでホラーっぽい感じにしたほうが良かったんじゃないかな。

感想

 どんなもんかな、とある意味恐る恐る見にいったわけだけど、面白かったね。ちゃんと怖くて面白いホラー映画だった。前半のホラーパートはしっかり怖くて、後半の視点者が変わるパートに入ると物語の全体像が明らかになっていって、引き込まれたよね。

 タイの映画って初めて見るから、雰囲気がよく分かってなかったんだけど、都市部の生活は日本と別に大きく違いがあるわけでもなさそうだった。むしろ、これが日本ですって言われても、「そういうところもあるかもなあ」って思ってしまうほど差がなかった。

 出てくる人たちも日本や韓国や中国とそこまで変わらない(ベトナム人をよく見る機会があるんだけど、そっち系の顔かと思っていたら、それとも違っていた)ので、日本の映画との違いは言語ぐらいだろうか。だから、違和感なく映画を楽しむことができたかな。

ママのホラーパート

 この映画は『カルト宗教の人たちに家を貸したら酷い目にあった』というのが基本的な話。家族はママとパパと娘の3人。カルト宗教の人間に家を貸したら、家の中で変な儀式やってるし、パパが洗脳されて怪しい行動繰り返すし、様子を探っていた隣のおばさんまでなんか危険なことになってるし、どんどんヤバいことになっていくんだよね。

 パパがおかしくなっているから、引っ越し先の家にいる時も落ち着かない。しかも、家の中で変な現象が起こり始める。

 とまあ、ママがじわじわと追い詰められていく話なんだよね。誰も味方してくれないし、家でも落ち着かないし、なぜか娘が狙われるし、パパは変な儀式してるし、もう勘弁してーってなっちゃうんだよね。

 ママのパートはママに感情移入して、細かいことは考えずに、一緒になって怖がれるいいパートだと思う。

パパのパート

 この映画の戦犯、パパ視点のパート。ママパートで意味不明だったパパの行動の意味が理解できるようになる。なぜパパはあっさりと洗脳されてしまったのか、その理由が見えてくる。

 正直ね、意味は分かるんだけど、理解はできないよね。パパの動機。あまりに入れ込みすぎてしまったのは仕方ないにせよ、今いる家族を大事にしろよと思ってしまう。あんな美人の嫁と可愛い娘がいて何が不満なんだよ。ふざけんなよ。って感じてしまって、パパには全く感情移入できなかった。むしろ独身おじさんのボクは怒っています。

 ホントバカなパパだよね。パパがしっかりしていれば、もしかしたら、この映画はなかったのかもしれない。それぐらい罪深いと思う。

黒幕視点

 最後に黒幕視点が入ることで、物語の全体像がはっきりと見えてくる。パパ視点の時は、こいつら案外いいやつなんじゃ、ってパパと一緒に騙されてたんだけど、結局真っ黒の邪悪なカルト宗教。しかも、インチキ宗教ではなくてガチのなんかヤベえ力持ってる人たち。

 こいつら普通に悪人過ぎて特に感情移入をすることもない。「なるほどそういうことか!」っていう最後のネタバラシ的な面白さがメインのパートになるね。

 あの一番偉い婆さんがサングラスかけてタバコすぱーって吸ったところで、サユリの最強ばあちゃんを思い出すようなカッコよさの片鱗を見た気がしたんだけど、そんなことはなかった。ただの悪人だった。

 結局、こいつらにすべて仕組まれていたわけだから、パパが洗脳されなかったとしても、まあ、こいつらの望む方向に動いていたのかもしれないね。

オチの部分

 ねえ。もうさ、キツいオチだよね。結局はパパの望む形に落ち着いたことになるんだけど、なるんだけど、パパはもういないし、残されたのはあの二人。二人は巻き込まれただけだから何も悪くないし、歪んだ現実をどうにかする力もない。受け入れて生きるしかない。ホントキツいね。どうしてこうなった。最後、自転車乗ったあのシーン、ものすごい余韻だよね。何も言えねえって感じ。

おわりに

 ホラー好きの人は満足できると思う良作だったね。めちゃくちゃ怖いわけでもないので、ホラーが大丈夫な人ならサスペンス的な展開も楽しめると思う。タイの映画だからとかあまり気にする必要もないと思う。おすすめです。

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