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こういうのすき | 映画「マッドマックス:フュリオサ」感想

 割と最近までこの映画が公開されることすら知らなかったんだけど、映画前の予告で存在を知った。怒りのデスロードの前日譚というんだから、見に行かないという選択肢はなかった。怒りのデスロードは映画館で見て最高に盛り上がった映画だからね。(公開が10年近く前でビビってる)

 ちなみにシリーズで見てるのは、怒りのデスロードだけ。今アマプラにある過去作を見始めてるところ。

あらすじ

世界崩壊から45年。 バイカー軍団に連れ去られ、故郷や家族、 人生のすべてを奪われた若きフュリオサー 改造バイクで絶叫するディメンタス将軍と、鉄壁の要塞を牛耳るイモータン・ジョーが覇権を争う"MADな世界"と対峙する!

公式より

 公式のあらすじがこんなもんなので、そんな小難しい話じゃないってことはわかると思う。ボクが一言でまとめるなら、「狂った世界に放り出されたフィリオサが生き残るために、復讐するために戦う」といったところだろうか。まあ、こまけーことはいいんだよって感じの映画。

感想

 いい映画だった。怒りのデスロードが楽しめた人ならなんの問題もなく楽しめると思う。むしろ、前作好きだったならもう何も考えず見に行けよとしか言いようがない。上映時間はちょっと長めだけど、テンポもいいし、アクションシーンが多くて楽しくて退屈しなかった。

 ただ、後から詳しく書くけど、怒りのデスロードの前日譚という制約がストーリーの盛り上がりの足を引っ張っていたかなと思った。怒りのデスロードに出てくる人物は絶対に死なないし、出てこない人物はだいたい死ぬ(特にこの映画の場合は)と考えると、盛り上がりが少し弱くなってしまったんじゃないかな。まあ、仕方ないけどね。

人の命が安いとアクションシーンが面白い

 現代のように衣食住が満たされた生活が出来ないと、人間というのは余裕を持って生きられない。他人に優しくできない。ましてや文明が崩壊して、生きるのがやっとの世界ともなれば、奪い奪われの世界だ。そりゃ、些細な争いで人が死ぬし、その価値はびっくりするほど安い。人類の歴史で見れば、命はの値段が高すぎる今が異常なのかもしれないけどね。

 映画の中で、イモータン・ジョーの軍勢とディメンタスのバイカー集団が初めて遭遇した時、指名されたウォーボーイズが何のためらいもなく自爆して死んだ。狂ったディメンタス軍団ですら、他人のために無駄に命を捨てるのはドン引きしていた。

 ただでさえ命が安い世界観なのに、ウォーボーイズの命はさらに安い。命が安いと戦闘シーンではガンガン人が死んでいく。自分の命を守るような行動をしないから、殺るか殺られるかになる。どんどん死んで次々に新しい敵が来る。殺し殺され、殺し殺され、テンポがいいんだね。戦争映画とかにも通じるところがあるけど、命は安ければ安いほど面白い。現代では考えられない面白マシンのアクションも面白い。そういうところがこのシリーズの魅力なんだろうね。

フュリオサが無口すぎる

 気になったのはフュリオサが無口すぎること。緑の地、故郷の場所は絶対に喋ってはいけないと言われているからなのか、フュリオサが本当に最低限しか喋らない。元々饒舌ではないんだろうけど、何を考えているのかわからない瞬間が多々ある。

 もちろん、攫われる→逃げる→ディメンタスに囚われる→イモータン・ジョーの勢力下で生き残る→出世する、という感じで、フュリオサを取り巻く環境は変わっていくので、その時々でできることをやっているだけなんだろうけどね。

 フュリオサの目的は母親を殺された時点で、ディメンタスに復讐をすることなのは間違いない。ややこしいのは、ディメンタスがフュリオサを一方的に大事にしていた点だろうか。ただのお気に入りレベルの感情だったとも思えない。ぬいぐるみをあげたり、イモータン・ジョーと争いになった時に守ったり、イモータン・ジョーに娘だと言ってみたり、かなり入れ込んでいたように思える。

 フュリオサも母親の仇ではあるけど、憎みきれていないところがあったのかもしれないね。だからこそ、ジャックといい感じになった時、ディメンタスへの復讐を諦めて、故郷へ帰ろうとしていたわけで。それもディメンタスがぶち壊すわけだけど。

前日譚という立ち位置が邪魔をする

 前日譚だから、イモータン・ジョーは絶対に死なないし、フュリオサも絶対に死なない。怒りのデスロードではディメンタスやその軍団が出てこないわけだから、彼らはほぼ間違いなく作品内で死ぬ。ディメンタスはイモータン・ジョーには絶対に勝てない。バイカー軍団も壊滅する。

 観客は未来を知っているので、この程度は簡単に予想できてしまう。この後どうなるんだろうっていうドキドキ感は減ってるよね。フュリオサが片手を失う流れはなかなか良かったし、ジョンの最後があんなことになっちゃうのもショッキングではあるけど。

 最後の方でディメンタスがバイカー軍団集めてイモータン・ジョーと対決しようとしていたけど、ロクに戦闘シーンもなく敗走させられていたのは、尺の都合か、分かりきった戦闘の結末をわざわざ描かなかったのか。

 個人的にはディメンタス軍とイモータン・ジョー軍が全面戦争になって、その最中にフュリオサがディメンタスを討ち取るって流れが見たかった。実際は戦わずに決着がついてちょっと拍子抜けだったかな。まあ、イモータン・ジョーの方が圧倒的に戦力が上だから、全面戦争時にフュリオサとディメンタスが戦うって展開も難しいんだろうねえ。

おわりに

 細かいことウダウダと書いたんだけど、この映画の魅力は、倫理観が終わった世界で繰り広げられる頭のおかしいカーアクションだからさ、何も気にしなくていい。頭空っぽにする方が正しい。映像で見なきゃ面白さは伝わらない。こんな文字情報に意味なんてない。

 怒りのデスロードを気に入った人なら間違いなく刺さる映画だし、IMAXとかでやっているうちに映画館へ突撃するのが正解だと思うよ。

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