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パニック障害と全般性不安障害のはなし~私と向精神薬との戦い~後編

※ものすごく長くなったので前後編に分けることにしました【後編】

前編はこちら

※※※

持続時間は短いけれど効果が速く現れやすいタイプの向精神薬として処方されていたセルトラリンという薬には、忘れられない思い出というか、薬を完全に断つことになったきっかけになる出来事があります。

セルトラリン以前の短時間で効くタイプの向精神薬は、私にとっては服用すると意識が低下する(眠くなる)ばかりで不安が減るわけではなく、それまで3年近くに渡って飲み続けているのに飲み始めた当初から症状が改善される気配が全く感じられないため、何か他の薬に変えるかやめるかしたい、と相談した時に、では幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンの量を増やす薬に変えてみましょう、として処方されるようになったのがこのセルトラリンでした。

この薬は私にとっては前の薬よりは不安が軽減された気がしました。ですがそれもほんの少しのことで、この薬を飲み始めてまた数ヶ月の頃にあまりに不安が強すぎて恐怖で身動きすらできないような日が続いたことがあり、通っている心療内科で相談したところ、では量を増やしてみましょうか、と言われてこの薬の量を増やしてもらったのですが、その量がその時の私に合わなかったのか、飲めば改善されると思って飲んだのに、直後から強烈な不安とパニック発作に見舞われて飲む前よりも不安が悪化してしまい、薬を飲むこと自体が怖くなってしまったのです。

なぜそのようなことになったのか。
再発を防ぐべくその後色々調べまくったところ、セルトラリンの服用量がその人にとって多すぎた場合、交感神経が優位になりすぎてパニック発作を起こす事がある、といった内容が書かれた記事を見つけ、不安を軽減するための薬を飲んで不安になっていたら元も子もない、と考え、この薬を飲むことをやめました。

飲むことをやめることにしたとき、心療内科の先生にはとくに相談しませんでした。
これはそもそも私が通っている心療内科の先生の方針として、向精神薬は飲まなくて済むなら飲まなくていい、飲まなくて問題ないならそれでいい、というのがあって、私自身が大丈夫だと感じるなら減らす分には好きに減らして良い(飲まなくてもいい)と言われていたから。

飲むことをやめるのにためらいなどはありませんでした。
そもそも飲んでいても効いてるかどうかもわからないし、なんなら先日その薬で発作を起こしているのだし、薬の効果が切れたからと言って症状が悪化するとも考えられませんでした。

セルトラリンの服用をやめて数日は不安の症状もあったし、パニック発作の兆候も見られてドキドキソワソワすることもありました。
ですが日数が経つにつれ、薬を飲み始めて以降ずっと感じていた、思考や体調になんとなくモヤがかかっているような重だるい感覚は次第にクリアになっていったし、気づけば気分的にも落ち着いている日の方が増えていきました。

そして、気分が改善してきたことで、長時間効くタイプの薬としてあわせて処方されていたロフラゼプ酸エチルの方も減らしてみても大丈夫かもしれない、と思い、こちらも飲む回数を1日1回だったものを2日に1回、3日に1回のように少しずつ間隔をあけることで減らしていきました。
この間不安の症状が悪化するようなこともなかったし、そもそも私はこの薬の効果に懐疑的だったこともあり、これなら大丈夫だろうと判断し、2週間も待たずに飲むのをやめました。

そうしてすべての向精神薬を飲まなくなって半月程経った頃。
気づけばいつの間にか、あんなに24時間365日「怖い!」と感じていた不安はどこへやら、怖くない日の方が普通になって、不安以外のことを考えられるようになって、パニックの発作も滅多に起こさなくなり、自然と笑顔になれている自分に気づいて驚いたりもしました。

そして2023年の9月を最後に、向精神薬の処方はなくなりました。

事後報告ではありましたが、先生に薬を飲まなくても不安になっていないこと、パニックの発作も起こす頻度が極端に少なくなっていることから薬を飲まなくても問題無いと感じていることを伝えると、それを了承したうえで向精神薬の処方をやめても問題無いという判断をいただき、ようやく私は向精神薬を卒業(?)することができたのでした。
その日の先生は、心療内科を卒業できる日も近いかもしれないですね、と笑っていました。

という感じで向精神薬の処方は無くなったものの、また悪化するかもしれないという不安が無かったわけではないので、心療内科にはこの後も1か月後、1か月半後、2か月後、といった感じで、すこしずつ間隔を空けて通院しています。

薬の服用をやめてから、体調の悪さがきっかけで不安を感じることはあったりするものの、以前のように漠然とした不安に一日中苛まれることはもうありません。
不安で何もできない、日常生活に支障をきたしている、という状態はもう全くと言っていいほど見られないため、私はもう全般性不安障害ではないのだろうなぁと感じています。

パニック発作自体は今でも起こすことはあります。
乳がんの疑いがある(ほぼ確定)との宣告から実際の結果が出るまでの1か月の間には、やっぱり怖くなって発作を起こした日もありました。でもそれはきっかけがあって起こるパニック発作なので、パニック障害の判断基準である、身体的に問題が無いにもかかわらず、何も意図していない時、何の原因も思いつかないような状態で突然起こるパニック発作が続いて日常生活に支障をきたす(説明は病院によって言い回しが違ったりするけどおおむねこんな感じだと思う)という状態とは違うこと、日常生活に支障を来すほどではないパニック発作自体は誰でも起こすことがあるものだということなので、私はもうパニック障害ではないのだろうなと思っています。

ここまで、私自身は向精神薬の服用をやめたことをきっかけに気分や症状が改善したと感じてはいますが、向精神薬を服用すること自体を否定するつもりはありません。
服用当時先生から言われていたように、私の意識的な部分では効果を感じられていなかったとしても、私の感じられていないところで症状が緩和されていた可能性があることも理解しています。

私が薬をやめたのは、結局薬が嫌いで飲みたくなかったから、という理由が一番で、自分が効果を感じられているのなら飲み続ければいいし、やめるにしてもその人のペースで良いのだと思います。誰かに合わせる必要はありませんし、これが正解などというものもありません。

ただ、私にとっては向精神薬はあまり良いものではなかったと思えるということ。そして今になって思い返せば、貧血と不定愁訴のことを教えてくださった循環器内科の先生に心療内科で向精神薬を処方してもらった、と報告した時、先生が苦い顔をしてらっしゃった理由のうちに、向精神薬を飲んだからといって改善しない場合もあること、ご自身の推しているオーソモレキュラー療法であれば向精神薬に頼らずとも改善できる可能性があると考えられていたのではないかなぁと思ったりしています。

色々あったけど、私にとっては向精神薬は無い方が良かった。そう思えるほど今はとても元気です。乳がんは置いといて。精神面でということで。

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