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【書評】ボクはやっと認知症のことがわかった(長谷川和夫)

<はじめに>
今回は、医師・長谷川和夫さん著作の「ボクはやっと認知症のことがわかった」についての書評です。認知症に詳しい医師の長谷川さんが、実際に認知症になり、その後も講演や執筆を続け出版されたものがこの本です。介護保険制度が始まった時代や痴呆から認知症と呼ぶように変わった時代を前線で走ってきた医師の長谷川さん。そんな長谷川さんの人生が詰まっている本です。
 
<認知症になってわかったこと>
実際に認知症になってみて、病院関係者など、長谷川さん自身ではなく家族に向かって話す(説明する)ことが多い点を指摘されていました。認知症状態は強かったり、弱かったり、するので本人自身に話すことを大切にしてほしいと書かれています。たしかに、そうだなと感じました。それは、どんな病気・障害の種類であっても、そして子ども・大人・高齢者であっても、関係なく本人自身に話すことが、一人の人としてリスペクトをもってコミュニケーションをとるということなのかなと感じました。
 
<社会・医療が認知症にできること>
社会側ができることとして、家族との時間や過ごし方、地域の在り方、なども書かれていました。家族との時間や距離感としては、テーマは「暖かさ」を大切にというあたりです。地域のケアについても書かれています。集まって話す場が基本です。私自身も、多世代地域センターがしっかり地域にあるといいなと常々おもっているので、大変参考になりました。
 
<おわりに(まとめ)>
認知症の現実も、感じます。私自身、特養で約2年半働いた経験があります。そこでの経験を思い出すと、長谷川さんがおっしゃる高齢者との暖かい関りもわかりますが、こなさなければいけないタスクと設定業務時間を考えるとどこまでできるのかなと感じます。ローマは1日にしてならずで、すぐに社会が変化というわけにはいかないと思いますが・・。
ただ、元気はもらいます。バリバリ前線で引っ張ってきた認知症専門医師の方が実際に認知症になっても、講演や執筆を続けている姿に。少しずつでも暖かい社会になったらいいな。少しずつでも、私自身も長所を生かして役に立てたらいいなと改めて思います。

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