逢えば逢うほど愛しくて (閑吟集42)
「いとほしうて見れば、なほまたいとほし いそいそ解かい 竹垣の緒」(閑吟集)
たまたま入ったお店でとっても美味しいものを食べたとき、ついつい夢中になって、その店に何度も通ってしまい、食べれば食べるほど好きになってしまうことや、
ふと耳にした音楽にはまってしまい、何度も何度もくりかえして聴いてしまうほどに、のめり込んでしまうことがよくあるように、
人はひとたび好きになったなら、くりかえすたびにさらに深く好きになり、飽きるどころか、自分にとって必要不可欠にまでなってしまうことがある。
それほどまでに好きになれる食事や趣味にめぐり合えた人は、どこかあじわいも深まり、人としての魅力も深まるように思えるのは、決して大げさなことではない。
だから、恋においても、会うたびにごとに、抱き合うたびに、ますます好きになってしまう、愛しくなってしまう。
そこまでになってしまう人と出逢えたならば、その人も、人としての魅力がとっても深くなるのだろう。
「いとほしうて見れば、なほまたいとほし いそいそ解かい 竹垣の緒」(閑吟集)
愛おしくて逢えば逢うほど、また愛しくなってしまうのです。あなたの前ならば、いそいそとこの服の帯も自ら解いてしまうのです。
愛しい人が訪れるのを待ちきれずに想いをこめる女の心理。家の入口の竹垣の扉と、帯を懸けているのが艶かしい。
あなたが私に飛びかかってきて、自ら服を脱いでいく。
あなたが私に出逢ってから、どんどん魅力的になってきたのは、私に対してこんなふうに想ってくれているからだとしたならば、
あなたに負けないほどに、愛しさは深まるばかり。