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アナログの恋

アナログレコードが見直されて、
売上げを伸ばしているらしい。

私の青春時代はまさにアナログレコードの時代で、
大好きなミュージシャンの新作が出るたびにレコード店に予約して、
発売日とともに買い入れて、
アルバムジャケットのデザインを堪能しつつ、封を切り、
ピカピカに黒光りするレコード盤をターンテーブルに乗せて,
針を落とす時の感動は未だに色あせない。

レコードは音楽を聴くための儀式のような厳かなもの。
レコードと呼ばず、アルバムと呼んだのも、
そんな魂が込められているからだろう。

かつて46分のカセットテープがあり、
ちょうどアルバムが1枚納めるためのもので、
A面、B面、それぞれ5曲、ないし6曲、全10曲、12曲というのが一般的だった。

アルバムを2枚分入れることが出来る90分テープちょうどよかった。

CD、ダウンロードなどでは感じられないアナログの風情。

アルバムのジャケットに一目惚れして、
中身を知らずに買い入れることをジャケ買いと呼ぶが、
まさに男女の一目惚れにも通じるもの。
そして封を切り、ジャケットという衣服を愛でて、
その黒光りする中身を取り出して、舞台に乗せる。
あたかも男女の情交にも通じる儀式。

男と女の情交においては
CDのような便利で手軽で綺麗な音ではなく、
レコード盤のように、儀式のような手間を取り、
艶やかな深い音を味わい、
23分単位で向きを変えるような流れがふさわしい。

ただできれば、46分ではいささか短いから、
2枚組くらいの長さで、
ABCD面を切り替えながら、
起承転結のある情交を楽しみたい。

そうして繰り返していくにつれ、
生涯離すことができない作品となっていく。

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