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どんなあなたの表情も好きだけど (宗安小歌集3)
「笑うたもよいが くすんだもよいよ どう取り廻せども 憎いとは思はぬ」 (宗安小歌集)
人間の表情というものは不思議なもので、その表情はめまぐるしく変わり、同じ人物でも喜怒哀楽の表情によって別人のような風情になったりする。
俳優さんや女優さんでも、笑っている顔が素晴らしい人、泣き顔にすごい威力がある人、怒り顔が最も個性的な人。様々。
表情はまさに変幻自在。
そしてその人のひととなりを、その心の様と共に表すもの。
従って、その一瞬を捉えたにすぎない一枚の写真などは、その人のひととなりを表現しているとは言えないはず。
それでも好きになってしまえば、自分の好きな場所の春夏秋冬のそれぞれの季節の風景を好きになるように、想い人の表情すべてが好きになってしまうもの。
笑顔はもちろん、怒った顔、哀しい顔、楽しそうな顔、そのすべてを。
「笑うたもよいが くすんだもよいよ どう取り廻せども 憎いとは思はぬ」 (宗安小歌集)
笑っている顔もいいが、すました顔もいい。どんなに表情が変わっても、憎たらしいなどと想ったりはしないさ。 どんな表情も好きだよ。
それはすなわち、どんなあなたの心の丈も好き、という意味。長所も欠点も、いい面も悪い面もひっくるめて好きになるということ。
そして笑顔の下の泣き心、泣き顔の下の幸福感。
表情とは裏腹の心のたけまで読み取れるようになれば、あなたの「心」は私のものとなるはず。