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「ゲームバランス」とはなにか?
はじめに
ゲーム制作でゲームデザインやレベルデザインと並んで人気のある項目と言えば「ゲームバランス」かもしれません。
ゲーム開発者もユーザーも、ゲームを評する際に「バランスが良い・悪い」と口にします。
しかし「ゲームバランス」とはいったい何なのでしょう。
難易度のことなのか、フェアさのことなのか、緩急のことなのか。
一言に「ゲームバランス」と言っても、意外にそれぞれ気にしている点は異なっているかもしれません。
本記事では興味の尽きないゲームバランスについて考察するとともに、今後理解を深めていくための仮説を紹介しています。
ゲームバランスの影響
ここに「体幹ゲージ」と呼ばれるシステムを搭載したゲームがあります。
相手の攻撃をちょうどいいタイミングで弾く「パリィ」というシステムがあり、この「パリィ」を繰り返すことで相手の「体幹」を削っていく。ゲージとして表現された体幹を削り切ると相手の体勢が崩れ致命の一撃を与えることができる。
死闘を生み出す抜群のシステムです。
しかし、もしゲームバランスが「悪かった」場合に何が起きるでしょうか。
たとえば…
同時に出現する敵の数が100体だったり。
体幹ゲージを削り切るためには100回パリィする必要があったり。
逆にボス含めてすべての敵が1回のパリィで体勢が崩れたり。
同じことを100回も繰り返せば退屈に感じるでしょうし疲れもします。
1回でうまくいくなら緊張感が生まれず、やはり退屈に感じるでしょう。
仕組み(システム・ルール)が面白くても、バランスが悪いとそれを活かすことができずゲームがつまらなくなります。
ゲームバランスは用意された仕組みを活かせるか、面白さを引き出せるかどうかに影響します。
ゲームバランスは仕組みの面白さを引き出せるかどうかに影響する
ゲームバランスはいつ評価される?
ゲームを遊んだ人がバランスを評する際、どのタイミングで判断を下すでしょうか。
まず「悪い」と判断するタイミングはどこか。
開始してすぐ?
中盤くらい?
終盤?
ゲームをクリアした際?
ゲームをクリアした場合、あまり「バランスが悪かった」とは評さないでしょう。もしバランスについて気になるところがあったとしても「でも悪くないバランスだった」と評するのではないでしょうか。
バランスが悪いと判断するタイミングは「ゲーム開始時からクリアする直前まで」だと考えられます。
最初はバランスが取れていると思ってもゲーム要素が出揃う中盤では不満が出ているかもしれないし、最後までバランスが取れているようでもラスボスやラストダンジョンのバランスに失敗して「このゲームはバランスが取れていなかった」と評される可能性があります。
次に「バランスが良い(良かった)」と評されるタイミングはどこか。
序盤でバランスが良いと感じている場合、継続して中盤へ、さらに継続して終盤へ、そしてそのままクリアするでしょう。
つまり「バランスが良い」ゲームは「クリアしたタイミング」で「良い」と評されるのではないでしょうか。
バランスはどのタイミングで評価される?
悪い=クリアするタイミング以外どこでも
良い=クリアしたタイミング
ゲームバランスが良いとどうなる?
ゲームバランスは仕組みの活用度合いに影響し、常に評価されていて、クリアさえすれば「良い」と評価されます。
「ゲームバランスが良い」とは「ゲームを進めさせる力を最後まで維持できた」とも言えます。
ゲームバランスが良い=クリアまで継続させる力があった
どうやってゲームを最後までプレイさせるのでしょうか?
それはゲームバランスをとることです。
それは「仕組みを活用し、プレイモチベーションを最後まで維持する」ことです。
ゲームバランスをとる
=仕組みを活用し、プレイモチベーション維持し、クリアまで導く
ゲームバランスの取り方…を紹介しているページなど
では、どうやって仕組みを活用するのか。
プレイモチベーションを最後まで維持させるのか。
ここに来て、ようやく手段の話ができます。
ゲームバランスを取る方法は色々と紹介されています。
ゲームデザインについて網羅的に分析された『ゲームデザインバイブル』という書籍にも「ゲームバランス」について書かれた項目があります。
いずれも詳細に書かれていてためになるのですが…どうしても根幹の部分でゲームバランスについて理解(というより仮説)がないと身につきません。
ゲームバランスをとる意味が「仕組みを活用し、プレイモチベーションを最後まで維持する」ことであると仮定しておけば、これら書籍やページで紹介されている内容が「それを達成するための考え方、手段・方法論」であると認識できます。
そうすれば、膨大な情報を暗記するという愚を犯すことなく「色々な方法がありますね」程度で済ますことができます。あとは自分が作っているゲームに適しているか、現在取り掛かっている業務で必要な部分をつまみ食いすればいいだけです。
もちろん、最終的には自身の中で体系化する必要がありますが、いきなり他人の論を無抵抗に丸呑みするのは困難です。
まとめ
ゲームバランスは仕組みの面白さを引き出せるかどうかに影響する
バランスが良いゲームは「クリアしたタイミング」で「良い」と評される
逆に「クリアするまで」いつでも「悪い」と評価される可能性があるゲームバランスが良いとゲームを進めさせる力を最後まで維持できる
ゲームバランスをとることは「仕組みを活用し、プレイモチベーションを最後まで維持する」こと
これら仮説をもとに手段や方法論を紹介しているページや書籍を読むと理解が深まるのではないか