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レベルデザイン、でもその前に(2)パスの話


レベルデザインの「パス」に注目したい


レベルデザインについて語られるとき、誘導や敵配置については多く語られるものの、レベルの構造自体についてはあまり論じられていない印象です。

今回はもっとも基礎だと考えられる「パス(経路)」に注目してみたいと思います。

レベルデザイン、その一部としての「パス」

レベルデザインは多様な要素を含みますが、単純に言えば「移動のデザイン」です。

「移動のデザイン」とは「ユーザーがプレイヤーキャラクターを目的地に移動させたくなる、楽しく移動させられるようにデザインする」ことです。

現在地から目的地を見たときに「移動したい!」と思わせ、移動している間も「楽しい!」と思われるのがレベルデザインだと言えます。

もしかしたら、レベルデザインという大きな枠組みの中に「パスデザイン」という領域があるのではないか…というのが今回注目した理由です。

レベルデザインはポイント間の移動をデザインする

レベルはパスで作られる

プレイヤーキャラクターはポイントとポイントの間を移動します。
そこがパスになります。

これを連続でつないでいけば、クオリティはさておきレベルの構造をデザインすることができます。

すべてのパスがつながればレベルの構造が完成する
それを通路にしてもいい

心地よいポイントのつなげかた

ポイント間のつなげ方は理屈で言えば360度可能です。

どの角度につなげるか

ですが、いくつかの理由からつなげ方にはコツというか、良いつなげ方があるように思えます。

どうつなげるのが良いのか、悪いのか

たとえば下の図のような進行方向に対して135度曲がった通路だと、接近しないと行き止まりなのか曲がり道なのかわからずストレスが溜まります。

どう見ても行き止まりですが…?

L字やT字路という90度のカーブであれば、曲がり角であることが予想できます。

一応曲がれることがわかる

進行方向に対して角度が浅いほど視界は良好、ストレスが軽減します。
カメラを操作せずとも視界に収まるのが「ゲームの場合はディスプレイ内しか描写できないので」120度程度、それを超えると視界不良になりカメラを操作する必要があります。※人間の視野角よりも狭いということです


視界良好グラデーション

となると、ポイントのつなげ方も、ユーザーのストレスを無駄に誘発しないためには左右90度がギリギリということになります。
前の図にあるように、L字とT字路であれば許容できますが、135度の曲がり角は許容できません。

ポイントのつなげ方の良し悪しとは「視界の良好さ」を意識することです。

90度を超えるとストレスが溜まる

さらにユーザーは基本的にはカメラを向けた方向に前進しようとし続けます。前進こそが正解で、反転や向きを変えるのは危険を避けるためだったり、他に気になることが見つかったり、来た道を引き返すときです。

視界の良好さとユーザーの前進欲求を組み合わせると、自然と進める角度は左右45度内でしょう。

気持ちよく前進できる角度

これまでを踏まえると、心地よかったりストレスを溜めないポイントのつなげ方は下図のようなパターンが考えられます。

色々なパターン

言葉で表記するならL字、T字、十字、Y字…などでしょう。

ちなみに135度以上の変化をつけたい場合は、中間のポイントを挟むのが良さそうです。こうすれば、行き止まりだと思われず、かつ急激な曲がり角を作ることができます。

一度ポイントを挟む

リズムを意識したポイントのつなげ方

CEDEC2018でゲームを面白くする手法として「コントラスト」について語られました。

コントラストとは明暗のこと。「ゲームの手応えが感じられない」ということは,すなわち緊張感が出ず,インパクトがなく,盛り上がらず,ドラマティックにもならないということだ。これは,ゲーム内でのコントラストが不足しているという理由で説明できるという。

[CEDEC 2018]ゲームが面白くならない理由は「コンテキスト」「コンフリクト」「コントラスト」の不整合にある - GamesIndustry.biz Japan Edition

ポイントのつなげ方のベクトルが良くても、リズムが一定で単調であれば面白くなりません。

リズムを変える方法は単純で、ポイント間の距離に変化をつけるだけです。

距離が短かったり長かったり

ポイント間の距離と角度によって、歩くリズムとカメラを回すリズムにコントラストを生むことができます。

まとめ

  • レベルデザインは「移動のデザイン」であるとも言える

  • 移動のデザインを「パスデザイン」と呼んでみる

  • パスのつなげ方にはコツがある

当たり前のような、そうでもないような。
自分自身がこうした記事が読みたかったので書いてみました。


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