レベルデザイン、でもその前に(4) 曲がり角について考える
はじめに
最近興味を持っているのが「曲がり角」です。
3D空間を舞台とするアクションゲームやRPGでは、閉鎖空間を探索する際に必ず「曲がり角」が登場します。
上記の直角な曲がり角はいかにも平凡でつまらなそうな感じがしますが、はっきりと「なぜ悪いのか・良いのか」を説明できないとレベルをデザインするときに困りそうです。
ということで、曲がり角について考えてみました。
曲がり角の役割について考えてみる
とりあえず考えてみる
まず、曲がり角の役割について考えてみます。
曲がり角は次の道を示しているものの、その先に何があるか不明です。
見えているのに見えない、何かが起こりそうな予兆を提供するのが曲がり角です。言い方を変えれば、何かが起こる前の中途半端な状況です。
実際のところ、曲がり角の先には何が待っているのでしょうか。
ゲームによって異なりますが、多くのゲームに共通する要素を洗い出すなら「敵」「宝箱」「行き止まり」「階段」「扉」「スイッチ」「次の場所」といったところでしょう。
曲がり角の先には「今は無いものが有る」のです。
前述した諸要素をひとまとめにすれば「次への展開」が有ります。
曲がり角は次への展開の予兆を生み出す構造です。
曲がり角 = 次への展開の予兆を生む構造
さて、ゲームデザインではユーザーをどのような感情にどうやって導くかを重視します。
曲がり角という「構造」はユーザーにどのような感情を生むのでしょうか。
「次の展開への予兆」によって生み出される感情は「先が気になる」…つまり「興味」です。
曲がり角の役割は「ユーザーの興味を引き出す」と考えても良さそうです。
曲がり角 = 次への展開の予兆を生む構造
→ 役割:興味を引き出す
興味という言葉を分解する
興味という言葉は感情と言うよりは状態で、ネガポジのベクトルを持たないニュートラルな言葉です。
ユーザーの感情をデザインするために、より分かりやすく分解してみます。
興味をポジティブに言えば「期待」で、ネガティブに言えば「不安」だと言えます。※「恐怖」と言ってもいいかもしれませんが、目に見える危険から誘発される感情なので、強すぎると思います
曲がり角の役割はユーザーに期待か不安を生むだと考えられます。
付け加えるならユーザーに期待か不安という興味を持たせて先に進ませる役割とも言えます。
期待と不安について考えてみる
期待について
曲がり角が引き出す役割である「興味」のポジティブな側面が「期待」です。ユーザーは曲がり角を見た時に「何が待っているのだろうか」とワクワクします。
逆に言うと、曲がり角を設置するときは「ワクワクが発生したので応える必要性」を意識したほうが良さそうです。
もうユーザーの心にワクワクは生まれてしまったのですから…
不安について
曲がり角が引き出す役割である「興味」のネガティブな側面が「不安」です。ユーザーは曲がり角を見たときに「何が待ち受けているのだろうか」とドキドキします。
曲がり角は使い方、見せ方によっては不要な不安を煽ってしまうかもしれません。
良い(悪い)曲がり角とは
曲がり角との遭遇によってユーザーの興味が引き出され、それは期待か不安のどちらかの感情を生み出します。
良い曲がり角とは、与えたい感情に即した構造です。
期待を生みたいなら、期待を生む構造になっている。
不安を煽りたいなら、不安を生む構造になっている。
与えたい感情と相反する構造であれば悪い曲がり角だと言えます。
良い曲がり角 = 与えたい感情に即している
悪い曲がり角 = 与えたい感情に即していない
まとめ
3Dの探索要素のあるゲームは曲がり角が登場する
良い曲がり角と悪い曲がり角とは何か
そもそも曲がり角の役割とは何か
曲がり角の役割は「興味」を引き出すこと
興味はポジティブに言えば「期待」でネガティブに言えば「不安」
良い曲がり角は与えたい感情に即している、逆に悪い曲がり角は与えたい感情に即していない
と、本当は「期待を生む構造」と「不安を煽る構造」についても考えたかったのですが、時間がかかりそうなので本記事はここまでとします。(ちゃんと書けるといいのですが)