不登校って問題ですか?
以前のわたしは、「不登校は問題」だと考えていました。問題が解決すれば、心も身体も治って元どおりに登校できると信じていました。我が子を治すためにカウンセリングを受けさせたり、病院を受診したりしましたが、状態はどんどん悪くなって、治そうと考えて行動すればするほど子どもは元気を失いました。
不登校を「問題」だと考えている間は、子どもの表面に見える変化しか見えなくなります。「問題」は解決しなければならないので、その原因を探して、対策を取って、親も学校も必死にその解決を目指してしまいます。
例えば子どもが訴える腹痛や頭痛などの身体症状は、病院で診察を受けて薬をもらえば、痛みがなくなるかもしれません。それで親は一瞬、ホッとしてしまうかもしれませんが、次に子どもは「朝起きられない」、「宿題が終わらない」などと言ってくるでしょう。1つ解決したと思っても、その後すぐに別の問題が生まれ、それに対応しなければならないという、いたちごっこのような状態になります。
それぞれの訴えに対する、理由は見つかるかもしれません。例えば「朝起きられないのは、夜までゲームをしているからだ」というのはわかりやすいですね。それで今度は、ゲームをやめさせるためのルールを決めたくなるわけです。でもここで親に必要なのは、「どうして朝起きられなくなるまでゲームをしてしまうのか」という子ども側の視点です。学校に行けなくなる状態まで夜更かしをしたり、体調を崩したりしてしまうのは、「学校に行けない」からで「学校に行けなくなったこと」に子どもは悩まされています。休むことに罪悪感があっても学校に足が向かないほど、追い詰められているということに親は気づかなければなりません。
わたしは、不登校は「問題」ではなく、親も子も変化するためのチャンスだと考えています。学校に行かない選択をしただけだと思えば、自然と向き合い方も変わります。目の前の好ましくない状況だけにとらわれず、「なぜ子どもはそうしなければならなかったのか」とじっくり考えることが大事だと思います。それでなければ根本的な解決にはつながらないでしょう。
不登校は、子どもにとっても親にとっても「大切な何かに気づくための貴重な時間」です。わたしの場合は、自分の子育てや、学校に対する思い込み、そして考え方のクセなど、多くの事に気づかされました。娘もストレスの発散方法を編みだし、人に頼ることが前よりもできるようになりました。
一般的には、不登校は問題行動だと否定的な見方をする人は多いかもしれません。でもせめて親は子どもが学校に行かない事実を受け入れて、「不登校は問題ではない」と心から言いたいです。そうすれば子どもも自分を肯定できるようになると思います。
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