【図解】(ヤギおじさんと)ジャムおじさんとアンパンマン
神回「ジャムおじさんとアンパンマン」
10/6(金)放送の特別エピソード「ジャムおじさんとアンパンマン」、ご覧になりましたか?ジャムおじさんのパン作りの原点が明かされ、巷でも話題になっているようです。
ヤギおじさんが気になる
ジャムおじさんの幼少期のエピソードは興味深かったんですが、私が注目したのは「ヤギおじさん」の存在感です。
ヤギおじさんは、アンパンマンワールドで小麦などを育てている農家さんのようです。メインキャラクターとしてタイトルに入ったりはしないものの、背景キャラとしてそこそこの登場頻度があるように思います。10/13(金)の放送でも、孫(やぎお)とともに野菜を栽培している後ろ姿が映っていました。ちなみに、彼の風車小屋は、アンパンマンが近づくと羽根が壊れて毎回助けられることでおなじみ。
神回で見せた、ヤギおじさんの存在感
「ジャムおじさんとアンパンマン」では、残りわずかな小麦粉で、アンパンマンのために新しい顔を焼くか、お腹を空かせたみんなが食べるためのパンを焼くか、という究極の選択が出てきます。パン工場一同は、アンパンマンの強がりもあって後者を選択。
その後、アンパンマンの新しい顔を焼くために、ヤギおじさんのところに小麦粉を取りに行かなくちゃ、という描写があります。パン配達を主業務とする物流のプロ・クリームパンダちゃんが、ヤギおじさんのもとに飛んでいきました。
つまり、ヤギおじさんが生産する小麦粉がなければ、アンパンマンの無限再生は不可能なのです。ヤギおじさん、超重要人物でした。ヤギおじさん以外にも小麦粉サプライヤーがいる可能性もありますが、劇中で明確に「ヤギおじさんのところに小麦粉を」と言われているので、ヤギおじさんの小麦粉には特別な力が備わっているのかもしれません。
アンパンマンワールドの産業構造
ヤギおじさんは、原材料を生産・供給する第一次産業従事者です。ジャムおじさんは、原材料を加工して製品を作る第二次産業従事者。アンパンマンは、何かを生産しているわけではなく、人々を保護するサービスを提供していると考えると、第三次産業従事者でしょう。
彼ら三者の関係は、様々なたとえができそうです。例えば、お金を払うサービス利用者(ヤギおじさん)、サービス製作者(ジャムおじさん)、生み出されたサービス(アンパンマン)。あるいは、税金を払う国民(ヤギおじさん)、税金の使い道を決める政府(ジャムおじさん)、税金で作られる公共機関(アンパンマン)、といった具合です。
要塞・パン工場を攻めるのは愚策
ばいきんまんがアンパンマンに勝つには、まずパン工場を機能停止に追い込めばよい、という論調があります。パン工場を潰せば、アンパンマンに新しい顔が供給されなくなります。RPGで、回復役を先に倒しちゃおう、みたいな話ですね。
しかし、パン工場はそれなりの防御体勢が整っています。特に、攻撃力・機動力に優れたアンパンマン号という超兵器が脅威です。人材面でも、ジャムおじさん・バタコさん・チーズでパーティを組んでおり、若干頼りないもののメロンパンナ・クリームパンダ(パン戦士)が住んでいる説も。パン工場には様々なゲストキャラも訪れており、予想外の人材が抵抗してくるリスクがあります。
重要なのに脆弱すぎるヤギおじさん
一方、ヤギおじさんは、人里離れた土地に独居(孫のやぎおが同居しているかも)のように見えます。畑仕事で鍛えられているとはいえ、高度な軍事技術を有するばいきんまんからすれば戦闘力はゴミレベルでしょう。よく壊れる風車を見ても、技術力が高いようには思えません。
つまり、ばいきんまんがアンパンマンに勝つには、まずは脆弱なヤギおじさんと小麦畑を攻撃すればよいのです。原材料の供給を断つ、まさに兵糧攻め。
また、防御が堅い大企業ではなく、防御が手薄な中小の関連企業を狙う攻撃は、サプライチェーン攻撃と呼ばれています。サイバーセキュリティの文脈で使われる言葉ですが、ばいきんまんの物理攻撃にも適用できそうです。
ばいきんまんにとっての勝利とは
しかし、ばいきんまんにはジャムおじさんのパンを食べたい欲求があります。小麦粉生産やパン工場へのサプライチェーン攻撃を行うと、パンを食べる欲求が満たされないことになります。「ジャムおじさんとアンパンマン」でも、ジャムおじさんのパンを食べるためにパン工場に向かっていました。小麦粉がなくてパンがすぐに用意できないことを知ると、パン工場を破壊するような素振りを見せていましたが、おそらく脅しの一種でしょう。
ばいきんまんにとっての勝利とは、アンパンマンを倒すことと、ジャムおじさんのパンを食べることです。これらの相反した欲求が、ばいきんまんにサプライチェーン攻撃を躊躇させ、「勝ち切れない悪役」にしていると言えます。
パン工場をカイゼンする
「ジャムおじさんとアンパンマン」での一連の騒動で、結果的に助かったとはいえ、パン工場が狙われたのは事実です。ばいきんまんが自身のジレンマに気づき、パンを食べたい欲求を抑えてアンパンマンを倒すことに集中しないとも限りません。パン工場のサプライチェーンの脆弱さが露呈し、カイゼンが求められていると言えます。
パン工場をカイゼンするには、防御力・生産力・輸送力の3点を高める必要があるでしょう。
まず、防御力は、脆弱すぎるサプライヤー・ヤギおじさんのリスク対策強化が急務です。ばいきんまんの襲撃に対抗しうる戦力を配備し、アンパンマンも風車小屋周辺のパトロールを強化します。しょくぱんまん・ロールパンナは、戦闘力の高さに加えて小麦粉への依存度が高く、風車小屋防衛には適役と言えるでしょう。
次に、生産力向上のために、ヤギおじさんのもとで働く人員を増やしましょう。体力が求められる職場なので、カバおくん・ちびぞうくんなどの力自慢なキャラクターがいいですね。また、小麦の生産力向上に合わせて、製粉の効率も高める必要が出てきます。老朽化した風車を改修するのは当然として、近隣河川で水車を使った粉挽き所を建設し、設備の冗長化も図ります。
最後に、風車小屋とパン工場の間の輸送力を高めます。SLマンという、大量輸送にうってつけのキャラクターがいますね。鉄道輸送のバックアップとして、しょくぱんまんやクレープマンなど、自動車を所有しているキャラクターにも協力してもらいましょう。
第一次産業の縮小への警鐘
アンパンマンワールドの多くのキャラクターは小麦粉に依存しています。ヤギおじさんの生産する小麦がなければ、多くのキャラクターが消滅するか、米粉パンなどへの変更を余儀なくされます。やきそばパンマン改め、肉野菜ソース炒めマン、みたいな。
第一次産業従事者たるヤギおじさんは、アンパンマンワールドの根幹をなす超重要キャラクターなのです。この事実は、第一次産業従事者が減少の一途を辿る日本に対する、アンパンマンワールドからの警鐘なのかもしれません。
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