読書まとめ『しくみ図解 通信技術が一番わかる』→2012年の未来予想図に触れる

『しくみ図解 通信技術が一番わかる』谷口 功

ネットワークエンジニアとして、浅く広く学びなおしたくなり、図書館で借りて通読。

興味を惹かれたのが、「スマートフォンでできること」という節。2012年出版の書籍なので、ちょうどスマホが普及し始めたときだ。スマートフォンというモノが最先端な響きを持っていたであろうタイミングで、きっと2020年現在でいうところの「5Gでできること」みたいな空気感だと思う。

この本を読んだアウトプットとして、2012年に描いていた未来予想図に対して、8年の時を経た2020年の時点で、どうなっているかを考えてみた。

ちなみに、携帯電話時代のWeb接続に使われていたのは各社独自のネットワークで、厳密にはインターネットではない。携帯電話網からインターネットに接続する場合は、各社のゲートウェイを経由していたのだそうだ。逆に、iモードやEZwebのページには、インターネットに接続したパソコンからではアクセスできない。

上記を踏まえて、各社独自の通信網を利用するものを「携帯電話」、インターネットを利用するものを「スマートフォン・スマホ」として考える。

①インターネットの利用:ウェブサイトの閲覧(Webブラウザ機能)、メールの作成と受信

携帯電話時代でも利用できたもの(仕組みは違う)なので、それがそのまま進化したといえる。ただスマホ時代では、後述の③~⑥のうちの多くが「ウェブサイトの閲覧」の下位に置かれるようになったことは予想外だったのでは。

また、SNSの普及により、閲覧だけでなく発信が容易になったことも特筆すべき点だと思う。

そういえば、キャリア(docomoとかauとか)のメールをすっかり使わなくなったなー。

②音声通話:IP電話、音声電話通話

大前提としてスマホも電話機ではあるので、これは間違いない。スマホに近いけど、音声通話の機能の優先順位を下げたものが、タブレットだと思っている。

2012年当時に言及されていない点でいうと、特に2020年に入ってからだが、IP電話の延長としてビデオ通話・三者以上での通話(Web会議)が急速に普及している。

③事務処理:ワープロ機能(文章作成)、表計算ソフト機能、PDFファイルの閲覧

スマホでできる。2012年では予想できていなかったこととしては、音声認識での入力・文章作成が可能になったことだろうか。

携帯電話でPDFファイルは見られなかったかというと、2005年の記事で、ドキュメントビューアの機能を持った機種が発売されていること、今後他の機種にも搭載されることが言及されている。

④個人情報の管理:スケジュール管理、住所録の管理

スケジュールは、他者と共有したり、他者のスケジュールに直接参加依頼を出したりできるようになった。

住所録という単語に懐かしさを覚える。住所録が最も活躍しそうな年賀状については、2013年の時点ですでに、相手の住所を知らなくても出せるようになっているらしい。

⑤マルチメディア機能:動画像の閲覧、静止画像の閲覧、音楽の再生、音声の録音、静止画像の撮影、動画像の撮影

閲覧・再生については、端末の中にあるデータだけでなく、インターネット経由でデータを受信しながら閲覧・再生できるようになった。データ元としては、自分にしか見られないもの(端末内データ、クラウドストレージなど)、誰でも見られるもの(Youtubeなど)、購入者・登録者だけが見られるもの(Netflixなど)、の3種類になったと考えられる。

一方で録音・撮影については、画質・音質の向上はしているものの、劇的な変化はしていないように感じる。ビデオ通話と近いが、撮影してそのまま配信、ということができるようになったことくらいだろうか。

⑥その他:電子辞書、電卓、GPS機能、ゲーム、テレビ視聴、ラジオ視聴

電子辞書はインターネット上に取り込まれた。電子辞書を検索するのではなく、インターネットで検索して辞書サイトにたどりつく、という形で順序が変わった。

電卓は大きな進化はしていない。手書きの数字を認識してくれるようになったことくらいか。

GPS機能は、それ自体には大きな変化はないが、道案内や配車サービス、位置情報を利用するゲームの発展を促した。

ゲームは、一番進化した分野かもしれない。世界中の人と対戦・交流できること、特定の時間や場所でしか得られない報酬があること、の2つが個人的には大きな変化だと思う。

テレビ・ラジオ視聴については、携帯電話時代とは事情が異なる。携帯電話はワンセグのチューナーがついていて、それでテレビの電波を受信していたが、スマホではインターネット配信で視聴する方が主流だろう。一応、チューナー内蔵の機種があったり、外付けチューナーが売ってたりはするようだ。

ラジオもテレビと同様。機種によっては内蔵されているものもある。ただ、災害時に使えるといいつつ、イヤフォンマイクが必須なのはどうなんだ。


上で挙がっている項目以外でスマホが持った機能としては、電子決済、生体認証、歩数計などだろうか。

スマホ本体はあくまで操作用の端末で、サービスの実体はインターネット上にある、というものが多い。携帯電話独自の通信網から、より一般的なインターネット網を使うようになったことで、スマホを利用したサービスの裾野が大きく広がったということを実感できた。

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あんぱんだ | 視える化推進エンジニア
いつも図書館で本を借りているので、たまには本屋で新刊を買ってインプット・アウトプットします。