読書まとめ『トリックといかさま図鑑』→ニセ超常現象の社会史
『トリックといかさま図鑑』マシュー・L・トンプキンス著
一言でいうと
ニセ超常現象の社会史
図書館で借りてみたが、ざっと流し読みして終了。
図書館が遠いので基本的には予約して出張所で受け取っており、この本はジャケ買いならぬ「タイトル借り」だった。読んでみると、おもしろくないわけではなかったが期待していた感じとは違っていた。図書館や本屋で実物を手に取ってパラパラ眺める機会があったら、買ったり借りたりしなかったと思う。
なぜ期待していた内容とは違っていたと感じたかを考えてみた。①と②は対象に関するスタンスの違い程度だが、特に③の期待とのズレが大きく、読むモチベーションが上がらなかった。この本に興味が沸いた人にとって、その興味と内容が合っているかを見極める参考になれば幸い。
※トリックといかさまの定義
本書で定義づけられているわけではなく、私の見解なのでご了承を。
トリック:タネ・根拠があると相手が認識しているもの。
ex.トランプをすり替えること自体が手段であり目的。「このカードが別のカードに変わります」と先に宣言することもある。
いかさま:タネ・根拠があると相手が認識しない、認識できないもの。
ex.トランプをすり替えることは手段で、ゲームに勝つことが目的。行使者自身はカードが変わったことを当然認識しているが、「運がよかった」などと言って認識していないフリをする。
① 期待:手品・マジックのトリック →実際:超能力のトリック
手品・マジックは、演者が「タネもしかけもない」と口で言ったとしても、「タネもしかけもある」というのが共通認識。一方で、超能力者は「タネもしかけもない」と本気で主張する。その超能力がトリックだと暴こうとする人たちとの攻防などが書かれている。
② 期待:ギャンブルのいかさま →実際:心霊現象のいかさま
19世紀のアメリカでは、心霊現象をおこしてお金を集めるようなことが日常的に行われていたらしい。それらをいかさまとして多数紹介しているが、時代が時代なので記録が残っていなかったり、写真も偽造が簡単だったりで消化不良。
③ 期待:図鑑 →実際:歴史書
ひとつひとつのトリックの絵図や解説が充実した、見開き2ページで1トリック、みたいな図鑑をイメージしていた。実際には、トリックを使った人・見破った人の来歴や、いかさま検証の攻防などの社会的背景についての文章の記述が充実した歴史書だった。絵図や写真は豊富だが、キャプションは少なく、がっつり文章を読ませるスタイル。息抜き読書用に読みたかったので、もっと気軽にパラパラ眺める系がよかった。
いつも図書館で本を借りているので、たまには本屋で新刊を買ってインプット・アウトプットします。