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ICT技術の導入で教育現場に革命を!元教師が自治体複業に挑戦

現代の学校現場では、子どもたち1人1人にタブレット端末が支給されるなどICT環境が徐々に整備されてきています。これにより、子供達が個別最適化された教育を受けられるということが期待されています。先生たちのITリテラシーの底上げが重要になる一方で、日々の業務に追われ遅れをとる学校も少なくありません。

今回お話を聞いた清水さんは、東京都の小学校で13年間、長野県で5年間働いていた経験を活かし、現在は教育ICTアドバイザーとして活躍されているそうです。縁が無かった地域で自治体複業に挑戦した理由や、GIGAスクール構想が教育現場にどのような影響を与えるのかについてお話を聞きました。

*プロフィール
清水 智 氏/HAKUBA EdTech 代表
徳島県那賀町:GIGAスクール構想実現パートナー

元東京都公立小学校主幹教諭。都内&小笠原諸島父島での公立小学校勤務から長野県白馬村へ移住。(一社)エンターキー教育ICTコンサルタント。日本人初のTeacherCanvassdor(Canva認定教育アンバサダー) GEG Hakuba Valley リーダーも務める。

GIGAスクール構想の推進を伴走支援

アドバイザーの就任式の様子(上段・左側)

ーー13年間、都内の小学校で先生として働いていた清水さんですが、現在は白馬村でICTコンサルタントとして活躍されています。白馬村での生活や、現在の仕事について教えてください。

自然豊かな環境で子育てをしながら、元教師という強みを活かして学校現場にICT技術を導入する支援を行っています。

仕事もプライベートも充実させたいという思いから、山登りや川遊びが気軽に楽しめる白馬村に移住することを決めました。また、私には4人子供がいて、大自然に囲まれながら子育てをしたいと思ったことも移住を決断した理由の1つです。

現在は、GIGAスクール構想の推進を現場レベルで伴走支援するコンサルタントとして働いています。教師として働いていた経験を活かし、普段の業務で忙しい先生達も無理なくICT技術が使いこなせるようにサポートしています。

ーー本業でもGIGAスクール構想の推進に携わっているのですね!那賀町でも自治体複業としてGIGAスクール構想の推進に取り組もうと思った理由は何ですか?

那賀町の求人タイトルに「こどもの教育にデジタル革命を!」という言葉が使われていて、熱意を持った職員さんと一緒に働きたいと思ったからです。

実際の求人

教育現場にICT技術が導入されれば、従来の教育は大きく変わると確信しています。例えば、小学生でもパソコンで資料を作成して発表をしたり、ネット上で小テストを実施すれば先生が採点する時に掛かる時間を大幅に削減したりすることができます。

このようにGIGAスクール構想の推進により、子どもたちの学びが豊かになるのは間違いありません。しかし、今まで使ってこなかったツールを使いこなせるようになるのは、忙しい先生たちにとってはハードルが高いと思います。

普段私が関わっている長野県の小学校以外でも、自治体複業という形で現場で働く先生たちをサポートしたいと思い、那賀町のプロジェクトに応募しました。

元教師の経験を活かし現場の先生をサポート

果樹で唯一「朝日農業賞」を受賞した那賀町の特産品「木頭ゆず」

ーー実際にプロジェクトが始まった時、どのような目標を立ててプロジェクトに取り組んだのですか?

全国学力・学習状況調査で行っているPC・タブレットの使用頻度や生徒の満足度のアンケート結果を数値化し、整理することを目標にしました。

現場の先生たちも、ICT技術を用いた授業が生徒たちにどのような影響を与えているのかが分からないと、モチベーションを維持することができません。全国学力・学習状況調査の調査結果に加えて、那賀町独自のアンケートを3ヶ月ごとに行い、その結果の変遷をグラフで表すことをゴールに決めました。

ーーGIGAスクール構想の推進による成果をグラフで表すためにアンケートを行ったのですね。職員や先生と一緒に仕事に取り組むうえで意識したポイントは何かありますか?

オンラインでいつでも気楽に相談できる環境作りです。

特に日々の業務で忙しい先生たちは、決まった時間をとって打ち合わせをすることが難しいので、いつでも質問できるチャットのチャンネルをMicrosoft Teams内で作りました。

また、メールだとワンツーマンのやり取りになってしまいますが、チャットなら1対複数でのコミュニケーションが簡単にできるので、活用して良かったなと思います。

ーーチャットを活用したことで、現場の先生方と円滑なコミュニケーションを取ることができたのですね。プロジェクトを振り返ってみて、一番嬉しかったことは何ですか?

プロジェクト終盤の教職員や教育委員会の職員が参加する全体ミーティングで、全員が顔出しで出席してくれたことです。

最初のころは、私と司会の那賀町の職員だけが顔出ししていて、先生方は画面オフで参加をしていました。普段の業務にプラスアルファという形で会議に参加してもらっていたので、会議に対して消極的だったのではないかと思います。

私は、先生方にとって役に立つ情報を会議で提供し、会議に出席することが自己成長に繋がる内容にすることを意識しました。その結果、全員が画面オンで会議に出席し、積極的に参加してくれるようになったのだと思います。

 ICT技術の導入で教育現場に革命を

プロジェクト期間終了後に実施した最終報告会の様子

ーーGIGAスクール構想を推進するために熱い思いを持って那賀町のプロジェクトに挑戦してくださったのですね。自治体複業への挑戦を通して清水さんが得ることができたものは何かありますか?

普段とは違う環境での取り組みだったので、新たな学びが多くありました。

自治体ごとによって使うツールやタブレットのメーカーなど取り組み方が大きく異なります。私は普段 Google を使っていますが、那賀町は Microsoft を使っていたので、いつもと違うツールを使った伴走支援を通して、自分の知見を広げることが出来ました。

ーー最後に今後のキャリアに関する抱負を教えてください!

日本の子供たちが世界で活躍するための土壌づくりとして、GIGAスクール構想の推進を支援していきたいです。

世界的にICT技術が普及し、情報端末を使った教育は当たり前の文化になりつつあります。その中で、日本の子どもたちが活躍するためには、今GIGAスクール構想の推進を進めることが重要です。

また、プロジェクト終了後には那賀町と直接契約を結び、今年度もアドバイザーを務めることになりました。引き続き那賀町でもGIGAスクール構想が実現できるようサポートしていきたいです。

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取材、執筆:井原 沙樹

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