とりとねこ
こんにちは、「函館在住者」のたにです。
いつも五稜郭から函館山方面に向かう時、太陽とおっかけっこをします。
山に沈む太陽を、待て待てと追いかけます。
いつもは、函館山につくと太陽が沈み、逃げ切り勝利されるのですが、今日は早めに家をでて、太陽を捕まえるために、「函館山の隅」に向かいます。そこは入船町の先にある函館の端っこ。山の先の海が見える場所にいき、夕日を眺めるたくらみです。
夕日を眺めることができるカフェ、ティーショップ夕日がある場所を目指し、数多くの船が眠る入船港を横目に坂をぐんぐん上ります。
坂を登っていくと花屋がたくさんありました。しかし、普通の花屋とはちょっと様子が違います。大きなバケツにどかっと入った色鮮やかな花。バケツには大きく500と書いてあります。おそらく値段の様。最初は花のバーゲンでもしてるのかなと思いましたが、坂を進むうちに気づきました。
そこにはたくさんのお墓がありました。
外国人墓地。中国人墓地、ロシア人墓地、プロテスタント墓地からなる墓地です。
四角い墓、地面に埋まっている墓、サボテンの様な形の墓。緑の大地に根ざし、鮮やかな花に囲まれています。
こういった海外のお墓を訪れるのは初めてでした。
海外の墓地は、墓地というより庭のようで、なんだかちょっと懐かしい。
海の寒風と、怖がりな自分さえいなければ、ずっといれそうです。
この場所には、そんな穏やかな雰囲気に包まれ、カフェが二軒佇みます。
そのうちの一軒がティーショップ夕日さんです。
歩くと、ぎしっと深い音がなりそうな古い木造建築の建物で、見た目は鮮やかなピンク色。昔の幼稚園の様なたたずまいです。
以前から訪れたかった店でしたが、本日は定休日。最近は定休日と相性がいいみたいです。
墓地の辺の写真を撮るのはやめました。
先ほど書いた様に自分は根っからの怖がりだからです。
外国人墓地の道をさらにまっすぐ進み坂を下ります。
坂をさらに登る道もありましたが、地図を見ると斎場があります。
もちろん一人でそんなところに行く勇気はありません。
どうせいつか必ず訪れるので向かうのはやめました。
坂を下り、さらに進むと函館の終わりにたどり着きます。
本日は曇り。雲の間から太陽が海を覗き込み、光のカーテンが下りています。
ここら一帯は古い家が多く、人はほとんど歩いていません。波の音しか聞こえず、ここには自分しかいないんだと思えるほどです。
この場所の光はきっと一つずつ、少しづつ、少なくなっていくんだろうな。ひとけのない家をたくさん見るとそう思え、なんだか少しずつ悲しくなってきます。
このあたりを歩いていると、小学校の時、通学路である田舎道を1人で帰った、あの寂しさと同じような気持ちになります。
空にはたくさんのウミネコ、道には寂しそうなノラネコ。
みんな何を求めて彷徨うのでしょうか?
入船港付近に戻ると船がたくさんとまっています。船を横目に、ずいぶんと昔からとり残されてる堤防を見ました。石を積み上げたような肌がとてもきれいです。このランプがいつも漁師の帰りをまっていたのでしょう。
なんとなく寂しさを冷たい風と感じながら、帰ろうと自転車を走らせていると、なんだか気になる雑貨屋さんを見つけました。
「観光客?地元の人?初めて?」
入るとお父さんが気さくに話しかけてくれます。
そこは雑貨屋というよりアンティークショップ
昔の映画の写真や、ポスター。時計やお皿。お父さんが彫った木彫りのナイフやスプーンも並びます。
「昔から古いものが好きで、集めたものを今こうしてみんなに売ってるんだよね」
この一つ一つのものにはお父さんの物語があります。全部大切な宝物なんです。なので、置いてある物の説明をしてくれる時はとても楽しそう。
「売れる時は悲しくないんですか??」
「悲しいは悲しいよ、そりゃ宝物だもの。」
お父さんは趣味でお店を営んでいます。奥さんに先立たれ、家にいても1人なので、こうしてお店にいつも座っているそうです。
「いろんな人が訪れるけど、みんな好きな物は全然違う、そういった人達と趣味について話すのは楽しい」
このお店にはリピーターが多くいるそう。
お父さんは一人ではありませんでした。
「またいつでも来てね」
何気なく入った変わりないお店。静かな町のなかに、人の集う場所がありました。
きっと見えないだけでそうした静かな繋がりが多く生まれているんだろうな。
さっきまで感じていた寂しさは、どこかへ飛んで行ってしまっていました。
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⭐︎訪れた場所⭐︎
外国人墓地
〒040-0055 北海道函館市船見町23
ティーショップ夕日
〒040-0055 北海道函館市船見町25−18
営業時間 10時00分~17時00分 木曜定休
雑貨工房 杉屋
函館市弁天町13-5