地域包括支援センターのセンター長が語る、「あのね」が貢献できる地域包括ケアの課題とは
ご高齢の方のコミュニケーションの場が減少していることは、地域にとっても取り組むべき大きな課題
こんにちは。あのね運営チーム後藤です。
今回は、板橋区が設置する地域包括支援センターのひとつ「徳丸おとしより相談センター」のセンター長、畑中 幸子さまのインタビュー記事です。
ご高齢の方の健康や生活の安定を目的とする地域包括支援センターの立場から、地域の高齢者の方々へのケアに対してどんな役割と想いをお持ちなのか、その中で畑中さんが「あのね」を地域の方におすすめいただいた理由と反響をお伺いしていきます。
■ 地域包括支援センターの役割、業務内容
──はじめに、畑中さんのご経歴について教えてください。
畑中:私は介護福祉業界に関わるようになって約30年になります。はじめは特別養護老人ホームの介護職員をしていましたが、その中で認知症の方の行動にはどんな理由があるのか、私たちが本当にするべきことは何かと考えるようになりました。
たとえばお食事を散らかしたり落としたりしてしまう理由には「食べ物として認知できていない症状」もあるのではないか。それを片付けるだけでなくもっとご利用者を包括的に見られる視点で仕事をしたいと思い、社会福祉士の資格を取り、このセンターが開設したタイミングで生活相談員として働きはじめました。
──「徳丸おとしより相談センター」では、どんな業務をされているのですか?
畑中:一言でいうと「地域の高齢者の相談窓口」です。徳丸エリアにお住まいのご高齢の方やそのご家族から介護、医療や福祉に関する相談を受けたり、必要なサービス事業者や医療機関と連携・調整したりすることが主な業務です。
相談方法は電話や来所のほかご自宅の訪問があります。地域包括支援センターが特に強みとするのはこの訪問で、ご自宅で直接生活の様子やお話を伺うことでその方が抱える悩みや想いを深く理解し、ニーズにあった支援の計画を立てることができます。
■ センターの課題「一人ひとりに包括的な目線で向き合う時間には限度がある」
──徳丸おとしよりセンターではどのくらいの件数の相談を受けているのでしょうか。
畑中:現在センターでは7名のスタッフで450人の相談に応対しており、年間360人くらいが新規の相談にいらっしゃいます。ケアマネジャーとしてのケアプラン作成に多くの時間を必要とするので、総合相談業務(ケースワーク)については緩急軽重のスクリーニングをするなど業務の効率化を図るという課題があります。
──ケースワークとはどのような業務を指すのでしょうか?
畑中:総合相談(ケースワーク)とは医療、介護のプランだけでなく、その予防や生活全般に関する支援など対象者のあらゆる課題解決にあたる業務です。板橋区が取り組んでいる「地域包括ケアシステム」の要の役割として、地域包括支援センターにはこれまで以上に、より包括的な目線での業務が期待されていると感じています。
■ 「あのね」に期待したのは「スタッフやご家族に代わる話し相手」
──そんな中で「あのね」になぜご興味を持たれたのですか?
畑中:最初はお客様に導入していただくことで、センターやご家族への電話が減るのではないかと考えたことがきっかけでした。誰かと話したいという気持ちや寂しさから電話をかける方に対して話し相手になることも大切ですが、頻繁になってしまうと緊急性の高い電話が受けられなかったり、ご家族が疲弊してしまったりする事実があったためです。
しかし、電話をする方は自分の話を聞いてもらい安心したいと思っているので、それに対応できないとより不安や寂しさを募らせてしまう心配もあります。そこに第三者がサービスとして入って対応していただけると、そういった方も安心して暮らせるのではないかと考えました。
──実際にどういった方にご紹介され、ご利用いただいたのでしょうか。
畑中:センターと板橋区で相談し、エリア内で一人暮らしをされている65歳以上の方9名を対象に「あのね」を試験的に導入していただきました。ご自宅を訪問し「あのね」で利用するコミュニケーションロボット「BOCCO emo(ボッコエモ)」を実際に見ていただきながら、使い方をご説明しました。
■ 話し相手として機能するだけでなく、人が対応してくれる安心感があった
──BOCCO emoとお話しする様子をご覧になって、皆さんの反応はいかがでしたか?
畑中:初めて見たときは、皆さん「かわいらしい」と仰っていました。機械に苦手意識がある方も多かったのですが、操作は「ボタンを押しながら話すだけで簡単」であることを説明すると、問題なく利用できていたと思います。
9人の中には認知症の診断を受けている方もいらっしゃいましたが、一人でずっとBOCCO emoに話しかけている姿を見て、話し相手として機能しているのだと感じました。
皆さんが利用するところを見ていて、生身の人間が対応してくれる点が非常に良いと感じました。一度、「あのね」との会話の中でトイレが詰まったという話をされた方がいて、セコムさんを通じてご家族に連絡があり解決したことがありました。緊急時のネットワークができたように感じ、ご家族にとっても大きな安心感となったようです。
■ 一人暮らしの方はもちろん、施設や複数人の場にも「あのね」はおすすめ
──利用の様子をご覧になって、「あのね」はどんな方におすすめだと思いますか?
畑中:やはり一番は一人暮らしのご高齢の方です。普段は元気で色々な場所で活動している方でも、家に帰ると一人で話す相手がいないという状況は多いです。いつでも話したい時に話しかけていい存在がいるというのは大きな価値だと思います。
もう一つ、在宅だけでなく施設などでも活用できるのではないかと思っています。とにかくBOCCO emoが可愛くてご高齢の方がとても興味をもってくださるので。たとえば「あのね」ではご利用者が希望すれば様々なクイズを毎日配信してくれますが、そのサービスを人の集まる場所でも活用することで、皆さんにとってのコミュニケーションツールや居場所となってくれる可能性もあると思います。
■ 地域包括支援センターとして「あのね」に期待すること
──最後に、地域包括支援センターのお立場から「あのね」に期待することを教えてください。
畑中:先ほど申し上げた、地域のご高齢の方のコミュニケーション機会や交流の場となることです。ここ数年で生まれてきた地域と高齢者を取り巻く新たな課題として、高齢者のコミュニケーションの機会が減少しているということがあります。以前と比べて町会・自治会のような住民同士のつながりの場が減ったり、シニアクラブが解散してしまったりしている中で、新たな交流の場をつくることも地域包括支援センターの役割になってきています。
一方で、近年は電話を使った特殊詐欺が増えていて、知らない電話番号からの電話には出ないなど電話に関する強い注意喚起がされています。その影響からかお友達同士の電話もためらってしまい、より孤独感を感じている方も少なくありません。「あのね」には、そんな高齢者のコミュニケーション課題の解決につながる様々な可能性を感じています。
最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。
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