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見た夢を書いたり、音楽を作ってみたり

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最近の記事

wintry_song

    • 遡行(3)

      横浜の会社で働き始めたものの、いくらも経たないうちに人員整理に引っかかって解雇された。 次の就職口を探していると、友人からベビーシッターをやらないかという誘いを受けた。 元々はその友人が行くつもりだったのが、都合が悪くなって代役を探していたのだ。 引き受けることにして相手の家を訪ねてみると、アメリカ人の軍人夫妻と赤ん坊の三人家族で、奥さんは日米開戦前の時代に日本でしばらく暮らしたことがあり、日本語が多少できた。赤ん坊は女の子で、名はダイアナといった。 ご主人は米軍の「

        • 敵が来る曇り硝子の窓の外部屋の真中に立ち尽くす我。 男なのか女なのか人でないけだものなのかそれは不明。 ただささくれだった敵意が周囲を取り巻きいやな感じ。 仏壇に飾った父の遺影が突如前後左右にゆれはじめる。 もう枯花を捨てねばと思うと父の遺影が仏壇から落下。 あやうく受け止め両手で遺影を持ち父の顔を見つめる。 ※楽曲(2020年制作)の歌詞は北原白秋の「敵」 「敵」 北原白秋(1885~1942) いづこにか敵のゐて、 敵のゐてかくるるごとし。 酒倉のかげをゆく日も、 街の問屋に 銀紙買ひに行くときも、 うつし絵を手の甲に押し、 手の甲に押し、 夕日の水路見るときも、 ただひとりさまよふ街の いづこにか敵のゐて つけねらふ、つけねらふ、静こころなく。 出典 日本の文学17 中央公論社1973年

          赤色巨星

          生活のややこしい問題に思い悩んでいるとき、死んだ父が夢枕に立ち「サイゾー」のバックナンバーに解決策があるというのだ。「サイゾー」という雑誌は本屋の店先で見かけたことがあり、知ってはいたが、何の興味もなく手に取ったこともない。古本屋の棚から「サイゾー」のバックナンバーを次々引き出して捲ってみるが、それらしき記事には行き当らない。その日、赤色巨星が地球に最接近し、夜になっても町が暗い赤色に染まっていた。シグナルなどの赤色灯のような赤色である群れを成して歩く人々の肩も街路も。屋内も

          赤色巨星

          Armillary_sphere

          Armillary_sphere

          Armillary_sphere

          山犬

          私の部下のRは言動に突拍子のないところがあり、あれは発達障害ではないかなどと言う人もおり、いつの頃からか、少し毛色の変わった者が集団の中にいるとすぐに発達障害だと「診断」するような風潮があり、そんな言葉を聞かされるたびに嫌な気持がしていかがなものかと思うのだが、そのRが最近は家に帰らず職場で寝泊まりしているというので、驚いて理由を尋ねると、彼女はいつも山を越えて通勤しているのだが、その山に大きな犬が何匹も出てこわいので家に帰れないとう話であり、その犬というのが黒板に白墨で塗り

          年越しそば

          大晦日の夜、二階の戸締りを厳重に行う。雨戸を閉め切り、いったん階下に戻る。 しばらくして再び二階に上ってみると、しっかり閉めたはずの雨戸が開けられて戸袋に収められている。 窓を開けると隣家の屋根が眼下に見える。長い棟の家で、その棟が蛇行している。 誰かが私のいない間に雨戸を開けたに違いない。普通ではないことが起こっているのであり、私は階下に駆け下りる。 階下には父と母がいて、台所にいる母に状況を伝えるが、高齢の母は二階に上ると足がふらついてちゃんと立っていることができなくなる

          年越しそば

          c-moll

          ハ短調の音階でmidiキイボードで即興演奏した。通常のカデンツに従っているわけではなく、テーマとその変容があるわけでもない。主音から開始して上下動を繰り返し、主音に戻って終わるだけのものなので、ハ短調の曲には聞こえないかもしれないし、こんなものは構造を持たない音の羅列であって音楽ではないと言われれば私は黙るしかない。 私がやっていることは音の落書きか殴り書きのようなものであり、録音として残ったものは作品というより落書きや殴り書きの痕跡というべきかもしれない。 こういう「曲」を24曲作って、まかり間違ってアルバムを出すことがあったら、その時はタイトルを『線のない譜』にしようと思う。 私はデタラメだけれど静かな音楽をやりたい。

          父母

          実家に数人の男女が訪ねてきた。玄関口で亡父と私が応対する。代表格の男性から渡された名刺には「T学院院長」と書かれていた。学校法人の業務のため、父が所有している土地を一時貸してほしいという用向きらしい。 T学院の人々と連れ立って、目的の土地を見に行く。木立の中を大きくカーブした道をたどり、丸太の柵で囲われた土地の入り口が見えてくるあたりに木のベンチがあったので、そこに腰を下ろす。名刺をくれた男性がマスクを外し、私は男性が私の元の上司であったT氏であることを知った。 T氏が学校法

          象牙の入れ歯

          左下の奥歯が抜けて、歯茎に大きな穴が開いている。その穴に入れ歯を差し込もうとしている。 歯茎の穴には血がたまっている。入れ歯は象牙であり、角笛のような形をした長さ十五センチほどのものである。 私がいるのは大きな講堂の中である。何かの式典の準備か、人々が忙しく行き来しており、本当は私もその一員として働かなければならないはずなのだが、私は喧噪の中で突っ立ったまま、人目もはばからず大口を開けて、象牙の入れ歯を歯茎の穴に嵌め込もうとしている。 何人もの人が黒檀の大きな卓や彫刻を施した

          象牙の入れ歯

          winter_visitors

          DTMは基本的にはソフトウェアの編集画面に音符を一個ずつ入力して制作するが(いわゆる「打ち込み」)、midiコントローラー(キイボード)を接続して、自分で鍵盤を弾いて音を記録することもできる。 Vocaloidも同じ機能があり、手弾きでの入力が可能だが、私が現在使っているYamaha Vocaloid5 Editorは、他の作曲ソフトウェアと違って「メトロノーム」の機能がない。 なので手弾きで入力する際は、片手で引く場合はもう一方の手で、両手で弾く場合は足で、拍子を取りながら演奏している。 今日は四小節の簡単なメロディを考え、声部ごとに拍を違えてヘテロフォニーの真似事 で一曲作ってみた(だいたい2時間ほどで出来上がる)。 Vocaloidは人声を真似るシンセサイザーなので、歌詞を考えなければならない。 私には歌詞を作る能力などないのだが、無理やりひねくって歌詞らしきものをつくる。 どうひねくっても歌詞ができない場合は、他人の作品を使わせてもらう(大正時代の歌人 木下利玄の短歌を岩波書店の著作権担当者に確認のうえ使ったことがある)。 歌詞の入力はVocaloidで作成したメロディラインの一音につき一文字ずつ入力するが、別に歌詞を一通りタイプして、メロディラインに一括して流し込む機能もあり、私はもっぱらこの機能を使っている。 一括流し込みの機能では、「カエルのう」まで歌って、数小節休止の後に「たが聞こえてくるよ」という具合の変なつながり方をすることがあるが、私は全然気にならない。 発音された言葉も「音」なのだから、単純に「音」として聴けばよいと思う。

          winter_visitors

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          杉木立

          旅行先で友人のSと出会い言葉を交わす。私が同行していた女性(私が全く知らない人)はSと同業者だった。 「彼女はお前と同じ業種の会社で働いているんだよ」 私が女性の勤務する会社の規模を教えると、Sは「企業規模が違いすぎるな」。 Sが勤める小さな会社との協働は難しそうであった。 杉木立の中の舗装した傾斜路の途中で私たちは会話していた。黒々と覆いかぶさる杉の中で、傾斜路は白い。 私がSと女性をつなげようと思い立った仕事は、大きな会議の企画運営だった。出席者一名あたりの単価があり、出

          Jack_Frost_is_here

          五線紙に「レミファソラシドレ」という音階を鉛筆で書く。 次にこの音階の各音に♯を付した音階を書く。 上記の16個の音に1~16の番号をふる。 ネット上でフリーで使える「くじ引きソフト」を回し、出た番号に該当する音符を五線紙に書いて行く。 くじ引きで選んだ16個の音列を書き上げ、この音列の逆行形と反行形を書く。 こうして順行、逆行、反行の三つの音列ができる。 音型を考え、音型に沿って音符を順次並べる。 こんな風にして曲を作るとジョン・ケージばりの「偶然性の音楽」になるのではないか思ったのだが、出来上がったのは何ということもない普通の曲だった。 曲の雰囲気から”Jack Frost is here”という題名をつけた。 この曲の主旋律を奏でるフルートの音はVocaloidで作った。 私はVocaloidを本当の人間のようにリアルに歌わせようと思わない。 生身の人間では歌えないような歌を歌わせた方が面白いと思う。

          Jack_Frost_is_here

          Jack_Frost_is_here

          飛行体の夢

          1 航空自衛隊のデモンストレーションか、暮れ始めた空の中を複数の飛行体が一列に連なってジグザグに流れるように滑らかに飛行している。先頭の二機はステルス型戦闘機であり、機首を真上に向けてこちらに腹を見せている。機体はシルエットのように真っ黒い。二機のステルス型戦闘機に続く四機の飛行体は四角い透明の箱であり、それらはステルス型戦闘機に連結されているわけではなく、それら自体が飛行能力を持っているらしい。箱の内部は桝で仕切ったようになっている。一つ一つの桝の中は事務所になっていて、事

          飛行体の夢

          遡行(2)

          雨が止んで日が暮れる。祖父と連れ立って汽車に乗り、アボマチに行く。 アボマチは「雨待ち」と書く。雨が降って川の水が濁ると、魚は尾を下に向けて泳ぐ。頭を上流に、尾を下流に向けて、川を下るのだ。尾が何かに触れると、魚は危険を回避しようと流れに逆らって上流に逃れる。後ろ向きになって川を下ってくる魚を狙って網を仕掛けて、川岸から離れ、高台で星を数えながら魚がかかるのを待つ。 時刻は一の暗がり(午後7時から8時)から二の暗がり(午後8時から9時)、三の暗がり(午後9時から10時)から四

          遡行(2)