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敵
敵が来る曇り硝子の窓の外部屋の真中に立ち尽くす我。 男なのか女なのか人でないけだものなのかそれは不明。 ただささくれだった敵意が周囲を取り巻きいやな感じ。 仏壇に飾った父の遺影が突如前後左右にゆれはじめる。 もう枯花を捨てねばと思うと父の遺影が仏壇から落下。 あやうく受け止め両手で遺影を持ち父の顔を見つめる。 ※楽曲(2020年制作)の歌詞は北原白秋の「敵」 「敵」 北原白秋(1885~1942) いづこにか敵のゐて、 敵のゐてかくるるごとし。 酒倉のかげをゆく日も、 街の問屋に 銀紙買ひに行くときも、 うつし絵を手の甲に押し、 手の甲に押し、 夕日の水路見るときも、 ただひとりさまよふ街の いづこにか敵のゐて つけねらふ、つけねらふ、静こころなく。 出典 日本の文学17 中央公論社1973年
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c-moll
ハ短調の音階でmidiキイボードで即興演奏した。通常のカデンツに従っているわけではなく、テーマとその変容があるわけでもない。主音から開始して上下動を繰り返し、主音に戻って終わるだけのものなので、ハ短調の曲には聞こえないかもしれないし、こんなものは構造を持たない音の羅列であって音楽ではないと言われれば私は黙るしかない。 私がやっていることは音の落書きか殴り書きのようなものであり、録音として残ったものは作品というより落書きや殴り書きの痕跡というべきかもしれない。 こういう「曲」を24曲作って、まかり間違ってアルバムを出すことがあったら、その時はタイトルを『線のない譜』にしようと思う。 私はデタラメだけれど静かな音楽をやりたい。
winter_visitors
DTMは基本的にはソフトウェアの編集画面に音符を一個ずつ入力して制作するが(いわゆる「打ち込み」)、midiコントローラー(キイボード)を接続して、自分で鍵盤を弾いて音を記録することもできる。 Vocaloidも同じ機能があり、手弾きでの入力が可能だが、私が現在使っているYamaha Vocaloid5 Editorは、他の作曲ソフトウェアと違って「メトロノーム」の機能がない。 なので手弾きで入力する際は、片手で引く場合はもう一方の手で、両手で弾く場合は足で、拍子を取りながら演奏している。 今日は四小節の簡単なメロディを考え、声部ごとに拍を違えてヘテロフォニーの真似事 で一曲作ってみた(だいたい2時間ほどで出来上がる)。 Vocaloidは人声を真似るシンセサイザーなので、歌詞を考えなければならない。 私には歌詞を作る能力などないのだが、無理やりひねくって歌詞らしきものをつくる。 どうひねくっても歌詞ができない場合は、他人の作品を使わせてもらう(大正時代の歌人 木下利玄の短歌を岩波書店の著作権担当者に確認のうえ使ったことがある)。 歌詞の入力はVocaloidで作成したメロディラインの一音につき一文字ずつ入力するが、別に歌詞を一通りタイプして、メロディラインに一括して流し込む機能もあり、私はもっぱらこの機能を使っている。 一括流し込みの機能では、「カエルのう」まで歌って、数小節休止の後に「たが聞こえてくるよ」という具合の変なつながり方をすることがあるが、私は全然気にならない。 発音された言葉も「音」なのだから、単純に「音」として聴けばよいと思う。
Jack_Frost_is_here
五線紙に「レミファソラシドレ」という音階を鉛筆で書く。 次にこの音階の各音に♯を付した音階を書く。 上記の16個の音に1~16の番号をふる。 ネット上でフリーで使える「くじ引きソフト」を回し、出た番号に該当する音符を五線紙に書いて行く。 くじ引きで選んだ16個の音列を書き上げ、この音列の逆行形と反行形を書く。 こうして順行、逆行、反行の三つの音列ができる。 音型を考え、音型に沿って音符を順次並べる。 こんな風にして曲を作るとジョン・ケージばりの「偶然性の音楽」になるのではないか思ったのだが、出来上がったのは何ということもない普通の曲だった。 曲の雰囲気から”Jack Frost is here”という題名をつけた。 この曲の主旋律を奏でるフルートの音はVocaloidで作った。 私はVocaloidを本当の人間のようにリアルに歌わせようと思わない。 生身の人間では歌えないような歌を歌わせた方が面白いと思う。