見出し画像

【詩作】冬



いみじくも今日の空は澄み渡り
人と私の間に、穏やかな灰色

夢はストロボのように街にちかつき
歩いた距離が無意味になる瞬間を
私は好きだ

寒い日に笑う肌を
行きちがいのあなたには秘密のままで、それは
冬空に隠した思い出にもなれば
失われた運命でもあった
だけどそれも、とりとめのないこと


眠りの匂いは濃く、流れ、
眠れぬ孤独に揺蕩う日も
世界は続き、あなたは光る
されど私は白けた咳で
安らぎのフレームからはみ出して
存在の意味を探す
だから、明日もあなたと離れた場所で、
同じ空を仰ぐだろう
だってそれは、とりとめのないこと
それがきっと、よろこびということ


いいなと思ったら応援しよう!