タンニン鉄液をパワーアップ?する話 その1 クエン酸で再キレート化
お茶やコーヒーを使って鉄を反応させて作るタンニン鉄液。
・根張りがよくなって、野菜が大きくしっかりと育つ
・葉や果実のハリ、色ツヤなどがよくなる
・野菜の構造がしっかりするので腐りにくく日持ちがする
・野菜の渋みエグミがなくなり、本来の甘みや旨みが出て食味がよくなる
タンニン鉄液は様々な実証実験によって、すでに上のような効果が報告されています。
私もペットボトルで作ってはいろんな作物に施して、日々その効果のすごさにおののいているのですが、肥料をほとんど施さないで自家製堆肥だけでものすごく大きな野菜が穫れるところがすごいんですよね。
さて、今回はそんなタンニン鉄液を二価鉄イオン分解してさらに強化するお話です。今日の話おのキーワードは「鉄イオン」。少し難しいので、まず鉄に関する簡単な説明を箇条書きにしますね。
お茶やコーヒーを使って錆びた鉄を反応させると、溶けだした鉄をタンニンがキレート化してタンニン鉄錯体を生成し、植物が吸収しやすい二価鉄イオンの形で溶存され続ける。これが黒(正確には濃い紫色)い魔法の液体タンニン鉄液です。
これはクエン酸によってタンニン鉄錯体が一旦分解されて、より安定的なキレート化合物になったから。更にすごいのはタンニンではキレート化しきれなかった三価鉄イオンを含め、全ての鉄イオンがクエン酸とキレート結合するって言うから驚きですね。
そもそも土中では鉄イオンの多くは土壌鉱物などのようにその多くは植物に吸収されにくい形で存在しています。そこで、植物は根から分泌されたクエン酸やリンゴ酸などの根酸で三価鉄を二価鉄に還元してキレート化し、二価鉄イオンとの錯体を形成して吸収しているのです。これを「遊離可溶化」と言うそうです。
また、森林の腐植土壌の中には自然界で微量しか生産されないフルボ酸という高分子有機物が存在します。フルボ酸は金属イオンと有機物を化合するキレート効果に優れていて、鉄イオンと出会うと結合して錯体を形成し、「フルボ酸鉄」を作ります。こうしてできたフルボ酸鉄は安定的なキレート化合物で遊離可溶化した有機錯体鉄(Ⅱ)として溶存し続けますので、根からそのまま植物に取り込まれると考えられているのですね。
つまりこれは、人間がフルボ酸の代わりに、植物が鉄を吸収する際に分泌するクエン酸と結合させてキレート化し、直接植物に取り込ませようとしているということですね。
なるほど。こんなにお手軽にこのフルボ酸鉄と同じような力を持つ「クエン酸鉄液」が作れるのは驚きです。この一手間でタンニン鉄液中の全ての鉄イオンが一層根から吸収されやすくなるのなら、これはもうやらない手はないでしょう。
あれ、でもちょっと待てよ。クエン酸はキレート化したタンニン鉄をいったん分解して、さらにタンニンではキレート化できなかった三価鉄イオンもキレート化する?それじゃ、わざわざタンニン鉄液を作らずに、最初からクエン酸水溶液に鉄を入れて反応させたらいいんじゃないの?そうしたらいきなりから安定的なキレート化合物ができるんじゃね?でも、それって園芸家の間では植物活性液としてすでに常識になりつつある「二価鉄活性液」なんですけど。
うーん。わざわざタンニン鉄液を作ってからクエン酸で二価鉄活性液にするメリットが私にはイマイチわかりません。
続きます。(^^)