還暦不行届 第五回 先祖からの伝言
やっとのことでエヴァが公開されて本当に本当にホッとしてる。
こういうことを書くと一部の熱心なエヴァファンの方々からは
お前が身内ヅラして言うような事ではない
と、お叱りを受けるかもしれないけれど
製作者側に立って、などとはもちろん思っていない。
私のやったことなどは本当に少し装飾を手伝った程度のことだからだ。
ホッとしたのはあくまでも「家族が、抱えていた一つの大きな仕事を終わらせた」
と言う意味での安堵である。
監督は夢中になってしまうと他のことが全く見えなくなるたちだ。
なので仕事が佳境に入ると生活面では完全に上の空である。
片手でお盆を持ったままその上の茶碗のご飯を食べていたり
何日も着倒した服や靴下をていねいに畳んで棚にしまったりしていた。
どうしたのか聞くと「洗濯に出したつもりだった」と言っていた。
監督の受け持ち家事の一つとしてゴミ捨てをお願いしているのだが
ある時まとめたゴミ袋とは別に入浴剤の5Lポリタンクを出しておいたところ捨てるのを忘れて出かけてしまった。
明日の朝持っていくだろうとそのままにしておいた。
しかし次の日も持っていかない。
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安野モヨコ&庵野秀明夫婦のディープな日常を綴ったエッセイ漫画「監督不行届」の文章版である『還暦不行届』の、現在連載中のマンガ「後ハッピーマ…
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