(8)ねことねずみ:ボードゲームで学ぶビジネススキル
こんにちは!大人のためのボードゲームの魅力を伝える「ボードゲームで学ぶビジネススキル」、第八弾です。
今回ご紹介するのは、邦題「ねことねずみの大レース!」(ドイツ語原題:ViVa Topo!)です。
今Amazonを見たら、わたしが持っているのはデザイン旧版のものみたいですね笑 旧版はなかなかシュールな顔をしています。これはこれで好き。笑
小さなお子様から大人まで一緒に盛り上がれるゲームで、漫画『放課後さいころ倶楽部』では1巻の第7話で紹介されています。
わたしも子どもの頃、家族で何度も遊んだ思い出のゲームです。(通称:ねことねずみ、だったので、この記事ではその略称を使わせていただきます)
今回実家に少し帰る用事があり、久しぶりに見つけたので取り上げてみることにしました。
そんな大人も子どもも簡単に楽しめるゲームですが、やってみると運と戦略のバランスが絶妙で、何度も挑戦したくなってしまいます。
サイコロの出目(運)に合わせて、アウトプットを最大化するためのリソース分配と、損切り決断スピードが肝となる、大人もついつい真剣になってしまうゲームの魅力を紹介します。
※遊び方知ってるよ!って方は、2つめの見出しのところから読んでみてくださいね。
遊び方紹介:迫りくる猫から逃げつつチーズをたくさん食べよう!
このゲームは、すごろくのような円型ボード上で1人4〜5匹のねずみを動かし、よりたくさんチーズをゲットできた人が勝ち、というゲームです。
自分のターンがきたらサイコロを振って、出た目の数だけねずみたちを動かすのですが、サイコロの中には「ねこ・1」の面が2つ入っています。
この食べる気満々の顔…。笑
「ねこ」が出ると、自分のねずみではなく、ねこを1マス進めます。
この「ねこ」に追い越されたり、同じマスに止まってしまったねずみは食べられてしまい、ゲームから脱落となります。
最初はゆっくりなのですが、2周目以降はねこがスピードアップし、2倍速で追いかけて来るので要注意です!
ねずみたちは、追いつかれないように進みながら、もしヤバい!となったら近くの「ネズミの家」に入り、チーズを獲得します。
チーズをもらえて一安心…!
最後までたどり着くとホールのチーズがもらえるのですが、途中で「ネズミの家」に入ると1/6や1/3など小さなチーズを獲得して、そのねずみはそれ以上先に進めなくなります。
できるだけ先にある大きなチーズを狙うか、ねこに食べられないように早めに小さなチーズを確保するか…チーズの数にはそれぞれ限りがあるので、配分と戦略が必要です。
ルール自体は簡単ですが、サイコロの目を予想しながらの駆け引きが楽しく、ねこが進むたびに「ぎゃー!」と大騒ぎしたくなるゲームです。
詳しいルールを知りたい方は、こちらのサイトに日本語訳が載っていたので、ご参照いただければと思います。
ねことねずみで学ぶビジネススキル①:リソース分配
このゲーム、1度やってみるとわかるのですが、全部のねずみを最終ゴールまで連れて行くのはほぼ不可能です。
となると、どのねずみをどこでリタイアさせるか(途中の小さいチーズを取るか)、が戦略上とても重要になります。
最初はなるべく大きなチーズをたくさん取れるよう、全部のねずみを平等に進めたくなりますが、そうしているとどれも中途半端なところまでしかいけず、気づけばねこに追いつかれて一網打尽になることも……
逃げよう!と思ったときには、近くの「ねずみの家」のチーズが既に他の人にとられていて入れない…なんてこともあります。
かといって早々に諦めて小さいチーズばかり取ってしまうと、ゲームに勝つことができません。
どうしても厳しいときは、戦略的撤退も必要…!
ここからだいぶ飛躍しますが、ビジネスの場面に当てはめて、ねずみを「能力・スキル」に置き換えて考えてみましょう。
すべてのねずみを平等に進めようとするのが日本の「ゼネラリスト」型、どれか1匹を優先して進めて1匹でも最終ゴールまで持って行くのが、欧米の「スペシャリスト」型、という感じでしょうか。
日本の会社は、やはりまだ明確な理由もわからない部署異動が頻繁に行われる会社も多く、いろんな部署を経験させて「ゼネラリスト」を育てようとする傾向が強いと言われています。
各ポジションの視点を知った上で仕事をできるのは、特に将来経営層になる場合はきっと大きな強みになるので、それもひとつの考えとして正しいのだと思います。
しかし全員が全員、経営層になるわけでもないし、1人1人の時間は有限なので、どれも数年ずつで中途半端な経験やスキルしか得られないのももったいない、という一面もあります。
「ねことねずみ」でいうと、全部のねずみを少しずつ進めて、1/6か1/3、よくて1/2のチーズをちょっとずつ集めて、結果悪くないけど突出して勝てないチーズの量しか集められなかった…という状況に似ています。
足るを知るねずみさんたち…これはこれでかわいい笑
ねこの目がたくさん出て、他のライバルねずみたちがどんどん食べられてしまうようなハイリスクな状況では、その方が安全に勝てるかもしれません。
しかし実際に仕事を頼まれるときは、「〇〇について相談したい」という特定の領域や課題があって依頼がくる場合も多くあります。
そのとき「〇〇のことならわたしに任せてください!」と言える専門性の高いスキルを1つ持っておくことは、ビジネスをする上で非常に強みになると思います。
その専門スキルを生かした仕事でまずはビジネスを始めつつ、一緒に仕事をする中で、他にも得意なことを知ってもらい、〇〇と△△を一緒にお願いできるのはこの人しかいない、となればどんどん市場価値の高い人になっていきます。
ここでまた「ねことねずみ」に戻ると、どれか1匹でもいいので最終ゴールを目指して突き進むねずみを1匹育て、その分どうしても進める目が足りなかったねずみは見切りをつけるという戦略が、1つの専門性を高めるキャリア戦略と似ています。
変化の早い世の中では、常に学び続ける必要はありますが、自分の貴重な時間やお金をどの分野に投資して成長していくか、そんなリソース分配のスキルも、このゲームで遊びながら習得できそうだなと思います。
ねことねずみで学ぶビジネススキル②:損切り決断スピード
先ほども少し触れましたが、全部のねずみをゴールさせられない以上、無情にもどこかで後方のねずみを諦めざるを得ないタイミングがやってきます。
そのとき、1匹も食べられたくない……!と意地になって、貴重なサイコロの目を瀕死のねずみに使ってしまうと、スピードアップしたねこにあっという間に他のねずみも全部食べられてしまう…なんてことが起こります。
場合によっては食べられそうなねずみは諦めて、前方のねずみを少しでも前に進めて、大きなチーズを狙った方が勝てる可能性も高まります。
損切り、と言ってしまうと冷たく聞こえそうですが笑、ビジネスでもなかなかうまくいかない新規事業など、どこかのタイミングで見切りをつけなければならない場面は少なくないでしょう。
しかしなかなかその"諦め"をつけるのが難しいのが人間というもの。
心理学で「授かり効果」というものがあるそうなのですが、人間は一度手に入れたものに価値を感じてしまい、手放しづらくなるようです。
詳しくはこちらの記事をご覧ください↓
株の投資などでもそうですが、少し価値が落ち始めた頃はまだこの「保有効果」が強く働き、もったいなくてなかなか手放せないことが多いです。
しかしそのままずるずると損切りせず持ち続けてしまうと、どんどん価値が落ちて、ダメージが広がることもあります。
そこで重要になるのが、決断スピードです。
もう見込みはない、と思ったらきっぱり見切りをつけて、別の伸びしろがあるところに投資する、というのがおそらく優秀な経営者や投資家ができることなのだと思います。
(わたし自身はまだ全然これが足りないです…笑)
「ねことねずみ」も、本当にすぐ後ろまでねこが迫ってくる前に早めに対策を打たないと、途中でヤバい!と思ってから逃げようとしても、その場所ではもうチーズがなくなっていたり、逃げきれなくなってしまったりします。
そんなスリルや臨場感もこのゲームの醍醐味として味わいながら、決断スピードを高めるトレーニングができるのも、ボードゲームならではの魅力だと思います。
まとめ:ボードゲームの魅力が溢れて毎回長文に…笑
毎回もっと短く、端的にわかりやすい記事を書きたい…!と思いながら、書き始めるといろいろ考えが広がってしまい、結果いつも長くなってしまい反省しています。
最後まで読んでくださったみなさま、本当にありがとうございます泣
最近YouTubeで流行り?の「切り抜き」的な感じで、今までの記事のセルフ要約版でも作って文章力を磨こうかなと思いました…(需要ないかな、、笑)
ポジティブに言えば、それだけボードゲームの魅力は奥深い、ということです!(正当化w)
そんなこんなで、今日ご紹介したゲームはこちらからご購入いただけます。
今はこんなパッケージ&デザインになってるんですね…!マイルドでかわいい笑
手元の説明書によると、4歳以上2〜4人で遊べるようなので、お子さんもぜひ一緒に遊んでみていただければと思います。
もちろん、大人だけでも十分盛り上がれますよ!
もし遊んだことがある、遊んでみたい!という方がいらっしゃれば教えていただけたら嬉しいです。
ではでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回の「ボードゲームで学ぶビジネススキル」もお楽しみに!