(5)ニムト:ボードゲームで学ぶビジネススキル
こんにちは!大人のためのボードゲームの魅力を伝える「ボードゲームで学ぶビジネススキル」、第五弾です。
今回はドイツ版七並べ(?)とも言える定番のカードゲーム、ニムトをご紹介したいと思います。
このゲームは、出しにくいカードをうまく先に出しておく計画性と、勝利のために必要なあえてリスクをとる損して得とれ精神、そして人数によって戦術を変える柔軟性がキーになります。
※遊び方知ってるよ!って方は、2つめの見出しのところから読んでみてくださいね。
遊び方紹介:数字カードを並べて、牛を押しつけ合う!
ニムトは2〜10人でさくっと遊べるお手軽なカードゲームです。
遊び方はとても簡単で、七並べのように1〜104の数字カードを出して並べていくだけです。
まず手札として全員に10枚ずつ配ります。場には山札から4枚とり、縦に並べてゲームスタート。
1ターンごとに、全員手札から出すカードを1枚選んで、裏向きで出します。全員揃ったら同時に表を向け、小さいカードから順に場に並べていきます。
カードは各列の左から小さい順に、一番近い数字の後ろに並べていきます。このとき、各列の6番目にカードを置いてしまった人は、その前5枚のカードを引き取ります。
↑この場合、54を出した人は、40〜52のカードを引き取ります
ゲーム終了時、この引き取ったカード上部に書かれている「牛マーク」の数が多かった人が負けとなります。
また、場に出ている各列右端のどの数字よりも小さいカードを出した場合は、どれか一列を選んでその列全てを引き取り、列の最初に今回出したカードを置きます。
基本的にはカード枚数ではなく、なるべく牛マークが少ない列を取るようにするとよいです。
簡単な遊び方は以上です!
詳しいルールは、こちらからご参照ください。
ニムトで学ぶビジネススキル①:計画性
(早速ですが、これはわたし個人の戦略なので、ニムトマスターの方からすると違うかもしれませんが、ご容赦ください!)
ニムトは、小さいカードから順に並べていくゲームです。ゲームが進むと、前のターンで出したカードが積み重なり、どんどん大きな数字しか置けなくなっていきます。
序盤に大きい数字を出してしまうと、その列にはそれ以上のカードしか置けなくなり、自分も後々苦しい思いをしてしまう…ということも多々あります。
そのため、数字の小さいカードをなるべく早めに出し、後の展開に備えておく計画性が必要なのでは…と思っています。
これをどうビジネスに置き換えるかですが…
初めから大掛かりなもの(=大きなカード)を出してハードルを上げすぎず、小さなステップ(=小さなカード)を積み重ねていくことで、最終的なダメージ(=牛マーク)を抑えて、物事を達成できる…ということと繋げられそうだな、と考えました。
どうしても仕事の場面では、「期待に応えたい」という気持ちが強くなり、最初からできるだけ完璧なモノを出そうとしてしまいます。
時間をかけて、〆切ギリギリに完成形に近いモノを作り上げて出すと、万一求められていたものと違ったときに修正するのが困難になってしまいます。
そうならないためにも、まだ作り込んでいない途中段階でも何度かステップを踏んで方向性を確認しながら進めていくことで、最終的な成果をしっかり出しつつ、全体でかかる時間も短縮できると思います。
それに完全に作り込んでからだと、思い入れも強いので修正をしたくない、ここからやり直すのは面倒くさい…と、指摘をネガティブに捉えてしまいがちです。
その分、拙くても素早く出して確認することで、もしずれていた場合は「あっ、これは違ったんだな」とあっさり諦めもつきます。それにより、チームやクライアントが求めている"勘所"をうまく探りながら進めることができます。
……だいぶニムトから飛躍してしまい、もしかすると、拙速主義的な話に近かったかもしれません。
しかし、後に大きな成果を出して勝利するために、計画性を持って小さなステップを積み重ねていくことの大切さも、ニムトは教えてくれているような気がしたのでした。
ニムトで学ぶビジネススキル②:損して得とれ
先述のように、なるべく小さい数字のカードで、6枚目にならなそうなものを出していこう…という戦術をとっている私ですが、1、2といった1桁の数字カードなどは、どうしても最後まで無害に出せるタイミングが来ないこともあります。
このゲームは「牛が多いほど負け」なので、1枚も場のカードを引き取りたくない…!という気持ちに縛られてしまうことも多いです。
しかし"ゲームにきっちり勝つ"ためには、ときには一番リスクが少ないタイミングで小さいカードを出し、後にうっかり列全部のカードを取らなくて済むようにする、「損して得とれ」精神が効果的な場面もあります。
さらに自分から進んでどこか1列を回収しておくことで、その列に出そうとしていた他の人のカードが置けなくなり、別の列におくことになった結果、6枚目になってしまいその列を回収させることができた…なんてラッキーなことも起こったりします。
放課後さいころ倶楽部の3巻でニムトが出てきたとき、油断していた生徒会副会長がこのトラップにハマってしまったシーンがありました
実際、1枚もカードを引き取らずにゲームを終えるとすごく達成感はあるのですが、実は無理にそれを達成しようとするのはリスクが大きい場合もあります。
あくまで「カードが一番少なければ勝ち」なので、ときには未来の"得"のために、必要な"損"は覚悟する、という心構えも大切です。
私自身は営業職ではないので、営業から「今回は利益にならないけど、将来的なお付き合いのために赤字覚悟で取り組んでほしい」と言われると、つい短絡的に「利益を生まない作業は会社にとって損なのでは?」と思ってしまいます。
実際自分のした仕事が、会社に赤字を生んでいると思うと、早々に手放したい気持ちになってしまいます。
でもその案件単体では損に見えても、そこである意味恩を売っておくことで、将来の案件に繋がる「関係性づくり」という先行投資ができる…というのを、営業の人は分かっているからこそ、そのような判断になるのだと思います。
わかっていても報酬という形で正当に評価してもらえないと、プランナーとしては悔しいものですが笑、そういうときは「損して得とれ」なんだと自分に言い聞かせて、取り組むようにしています。笑
ニムトで学ぶビジネススキル③:柔軟性
ただ数字を出していくだけなのに、なかなか奥が深いニムトですが、プレイ人数によっても取れる戦術が変わってくるのも面白いポイントです。
ニムトは2〜10人という幅広い人数で遊ぶことができますが、2人のときと10人のときでは、ゲームの進行スピードが全然違います。
2人だと、1列6枚が埋まるのに、少なくとも3ターン目まではかかります。
しかし10人で遊ぶと、1ターン目であっという間に6枚目まで埋まってしまうこともあります。
さらに10人で遊ぶ場合は、1〜104全てのカードを使い切るので、場もしくは誰かの手札に、1〜104が必ずあることになります。
そうすると「〇〇の数字はまだ出ていないから、もしかするとそろそろ誰かが小さいカードを出して、列を回収してくれるかも」など、戦略を立てやすくなります。
一方、少人数で遊ぶ場合は、今回使わないカードも多くなるため、相手がどんなカードを持っているかは最後までわかりません。
絶対置ける!と思って出したカードも、タイミングによっては6枚目になってしまうこともあります。
そのように、人数によって戦術を変える柔軟性も求められるのが、このゲームの面白さでもあると思います。
いつものメンバー・人数だけでなく、ときには大人数で集まる際にも遊んでみると、遊び慣れていても改めてこのゲームの奥深さを味わうことができるのでおすすめです。
まとめ:シンプルなものこそ奥が深い!
今回はニムトについて考察してみましたが、いかがでしたでしょうか?
ルールは至ってシンプルで、誰でもすぐに遊べるゲームではありますが、運と戦略のバランスもよく、いつ遊んでも、何度でも楽しめる魅力にあふれたゲームだなと思います。
このゲームは、ボードゲームで有名なドイツの「ゲームデザイナーの師」とあおがれる巨匠、ヴォルフガング・クラマーさんの作品です。(放課後さいころ倶楽部3巻参照)
無印良品の製品などもそうですが、突き詰めて誰でもシンプルにわかりやすい・使いやすいものに落とし込めるのが、巨匠のなせる技だな…と感じました。
仕事で企画を作るときも、「一言で言えるまで突き詰めろ!」とよく言われたりするのですが、研ぎ澄まされたシンプルさほど価値が光るということなのだろうな……と思います。
私もそんな洗練された企画やコンテンツを作れるプランナーになりたいな、と改めて思ったのでした。
そんな様々なことを教えてくれるニムトをやってみたい!と思った方は、こちらからどうぞ。
一般的にニムトといえば上記の商品(6ニムト)ですが、11ニムトという別のゲームもあるようです。
調べてみたところ、同じく数字カードを使うものの、ルールも全然違うゲームになっているようで気になりました。
他にも、日本語版はなさそうですがシリーズ展開がありました。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
次回の「ボードゲームで学ぶビジネススキル」もお楽しみに!
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