プラントプラネットを終えて
めちゃくちゃハードな1ヶ月が終わった。今まで体験した事ないようなスケジュールと進行。役者人生で1番難しくて、悔しかった公演だったかもしれない。
それでも参加できて良かったし、大千秋楽を迎えれて本当に良かった。
たくさん泣いたけれど。色んな人に迷惑かけたし、いろんな人に助けてもらった。頼ることの大切さも気づけたし、出来ないことばかりで自分が嫌になったりだとか、他の人を羨んだりだとか。いろんな感情を経験したから、全てを引き出しにしまった。精神的に余裕が持てなかった。仕事との両立に難しさを感じたり、はたまた役者辞めようかなってチラッと思ったり。部屋は散らかりっぱなしで片付ける時間さえもないし。本番中もたくさんダメを貰った。至らないところばっかりで自分をうまくコントロールできなかった。役者って難しい。コミュニケーションがうまく取れなかったり。それでも全ての経験は財産だと思う。
明日からまた新しい船出だ。航海の旅は続く。
伊藤えん魔プロデュースのプラントプラネット。今までで1番苦労したけど、1番学んだかもしれないエンタメ劇。虫の役と花の役、緑の民の役をもらった。演劇で1番大事なのは、実はメインキャストではなくてアンサンブルである。そんな仕事をいただいて、毎日試行錯誤だった。アンサンブルが上手く立ち回るから、よりメインキャストが輝くのだ。関西小劇場界隈でも有名な人たちがたくさん集まって、直接指導を受けたりだとか、すぐ側で芝居を観れたりだとか、なかなか経験できない環境だった。これは私にとってとても大切な財産だ。
今年は1年で4本の舞台に立たせてもらった。ヒロインをさせて貰ったり、はたまた人間じゃない役をやらせて貰ったり。発話の音の出し方に苦労したり、何故か関西人なのに関西弁に泣いたり。常に挑戦の連続で、そんな1年で良かったと思うし、経験を積んで積んで漸く芽が出るかもしれない。役者としてのわたしはまだまだで、演劇的カンが良い方でもない。だからこそ一つ一つの舞台を大切に、経験を積み重ねていくしかないのだ。どれだけしんどいことがあっても、板の上に立ってみると楽しいし、あの舞台の上からの景色を見れることを嬉しく思う。そして本番前のルーティンとして必ず、原点の舞台の映像を見返して、あの頃の自分の気持ちを思い出すようにしている。
演劇とは不思議である。一瞬で虜にされる瞬間があって、そういうのがずっとずっと続いていくのだ。しばらくはまだ、役者を辞めずにマイペースにゆるゆるとやって行こうかな、と今は思っている。時に自分を追い込んで、時には生活さえも犠牲にして。それでも見たい景色があるのは幸せなことかもしれない。
愛澤 アン