墓場のオサムと機嫌のいい幽霊2
今年ラストステージが無事終演しました!
Goldfish Theatre 4(突劇金魚プロデュース公演)
墓場のオサムと機嫌のいい幽霊2
総勢100名ほどのキャスト、全4チームでお届けしました。
苦しく、切なく、愛おしい。愛するが故憎いのか、憎しみに囚われ続けるのか、美しい妹と母の苦悩、オサムは無実で無垢なのに、醜く産まれてしまったが為に上塗りされていく誹謗中傷だったり、疑い、悪意だったり。お酒を飲んだら性犯罪に走ってしまう浮浪者と、言葉を話せなくて可哀想なカゲリと、浮浪者に襲われた妹の仇を探す警官と。色んな情景があって、全てがハッと胸を突かれるような内容だった。誰もが誰かになりうるし、どんなシチュエーションにもなり得る。そんなお話。
それでも最後にオサムは少年に
と言う。見た目が普通じゃないから、小屋に押し込められて、パンだけを与えられて、愛情も教育も受けず、ただひたすら蔑まれて、いないもののように扱われていたかに見えたオサムだが、最後に真理に辿り着く。望んでいた雪に埋もれていなくなる時に。儚く切なく美しいラストだな、と思いながら。脚本がとても素晴らしく、また演出も、美術も、照明も、音響も、役者も、全てが綺麗におさまった作品だった。こんな素晴らしい芝居の一部になれて良かったと、心から思う。今年のクリスマスイブはたくさんの人たちと過ごせて、楽しい1日になった。
わたしは幽霊5のポジションをいただいたのだが、幽霊は設定が細かく決まっているわけではなく、与えられているのは台詞といつ死んだか、のみのため、そこからそれぞれの役者が自分で解釈した役で演じていく。わたしは台本を読んだ時に幽霊5はギャルでないと成り立たない、と感じたため、ちょっとアホなギャルのあゆみ(23歳)という設定で演じた。お陰で衣装がギリギリまで決まらず、とても苦労したのだが、それでもこの設定にして良かったなと思えた。マッチングアプリで知り合った男の、軽トラに乗ってしまうのはギャルじゃないと成り立たないと感じたからだ。顔がめちゃくちゃ好みで、そんな男の軽トラの助手席に乗り、スピーカーから雷の音を爆音で流して、運転中ずっとハトのモノマネをしている。そんなヤバいハト男に、フロントガラスのぬいぐるみがびしょびしょの理由なんて、普通の女の子なら絶対聞かない。いや、まずデートに軽トラで現れる男の助手席には乗らない。わたしなら軽トラを見かけた時点で、体調不良と言って帰る。ぬいぐるみがびしょびしょの理由を聞いたことが地雷で、掴み合いの喧嘩をして、車からほっぽり出されて轢かれて崖から落っことされたのだ。だから断固ちょっとアホなギャルを貫いた。他の幽霊5達はどういう解釈だったのか気になるところ。脚本を書いたサリngさんは、真面目に彼氏を探している女が悲劇にあって、恨みを抱えているという設定だったらしいが。
組ごとに色んなキャラクターがいて、演じる役者ごとにカラーも違う。同じ話なのに、違うように見える。4チームそれぞれのカラーがあって、その違いが面白かったりする。一体何人のお客様が全チームをご観劇くださったのかはわからないが、その違いを楽しんでいてくれたら嬉しいなと思った。
余談だが、転換要員として黒子も3シーンやらせていただいた。小屋回すの難しかったし着替えもハードだったが、なかなかない経験ができた。
今年5本目の舞台が無事に幕を閉じれて良かった。たくさんの出会いがあって、またいつか会えたらいいなぁなんて思いながら。
ありがとうございました。
愛澤アン