アンデルセン 表参道
表参道には好きな店がたくさんあったが、よく行ったのは交差点の角のアンデルセン。
1階はサンドイッチやデニッシュやケーキのテイクアウト、地下はカフェテリア、2階と3階はレストランになっていて、2階はすべて禁煙席だった。
大きくとった壁一面の窓からは、表参道の交差点と、原宿へと続くケヤキ並木が見下ろせた。
うにゃさんと初めて会ったときにもここでランチした。
実は私はそのことを忘れていて、最初に会ったのは銀座だったと思っていた。
銀座で会ったならどこでランチしただろうと、うにゃさんに聞いてみたら、窓の外に鈴懸かマロニエの見える2階の店で、キッシュを食べたのはよく覚えているという返事だった。
それならアンデルセンだ。
2002年5月にうにゃさんと初めて会った(というメモが残っている)。
その頃は青山通りの街路樹はトチノキ(マロニエ)で、アンデルセンの窓の外にも植えられていた。
2008年に青山通りのトチノキはすべて伐採されて、表参道と同じケヤキに植え替えられたそうだ。
植え替えられたケヤキが表参道のような立派な木に育つまでは30年かかるという。
昔青山通りをよく歩いた者としては、あのトチノキが伐採されてしまったのは残念でならない。
話は戻るが、ランチしたのがアンデルセンだとわかって、そこで思い出した。
初めて会ったとき、うにゃさんと待ち合わせしたのは原宿駅だった。
改札口で待っていると、通路の向こうからうにゃさんがやって来た。作ったばかりというスクエアネックのワンピースを着ていた。
何年も行っていないが、原宿の駅舎も取り壊されて、今はもう昔の素朴な駅舎ではなくなったらしい。
アンデルセンは入り口を入ると左手がパンやケーキの売り場で、目の前に2階へ続く幅の狭い螺旋階段があった。
2階の禁煙席には友人たちと何度もランチしに行った。
おいしかったメニューは、アボカドとシュリンプのサンドイッチ。
スライスしたアボカド、ゆで卵、ゆでた小海老とオーロラソースが絶妙のハーモニー。
たっぷり添えられたピクルスは、きゅうり、黄色いパプリカ、にんじん、セロリ、小粒玉ねぎ。
この間、冷凍のゆでた小海老が余っていたので、これを作ってみた。
アンデルセンを思い出して作ったわけではなかったが、無意識の領域にこのときのおいしかった記憶が残っていたのだろう。
この記事を書くにあたって当時の気まま通信を読み返していたら、このメニューが書いてあった。
今でも覚えていて何度も作っているのが、テイクアウトのチキンサラダサンドイッチ。
柔らかい食パンに、細く切った蒸し鶏ときゅうりを醤油味のドレッシングで和えたものが、たっぷりぎっしりサンドされていた。
見た目はこれ一つで足りるかなと思うが、食べてみるとお腹が一杯になった。
アンデルセンのケーキは買ったことがあるかどうか覚えていない。
表参道でケーキと言えば、私はドンクのプチフールが好きだった。
2本の指でつまめる一口サイズのケーキで、エクレアや、生クリームのついた丸いケーキ、チョコレートケーキなど、ショーケースに何種類も並んでいた。
まるでドールハウスのお茶の時間に出したいような、可愛くてきれいなケーキだった。
味も普通サイズのケーキと同じか、それよりおいしくて、私はこのエクレアが大好きだった。
ドンクはフランスパン専門のベーカリーで、表参道の駅から青山通りを渋谷方面に向かって少し歩き、右手の横道に入った右側にあった。
自由が丘にも店があり、そこではバゲットやバタールといったフランスパンを買ったことがある。
パンを入れる袋が、白地にチャコールグレーでパリの地図を描いたもので、トリコロールのフランスの国旗も描かれていておしゃれだった。
青山通りをドンクの方に曲がらずにもう少し歩くと、右手に紀ノ国屋インターナショナルがある。
ここの青山マフィンもおいしかった。
直径7センチぐらいある大きなマフィンで、生地に生のチェリーやブルーベリーをふんだんに混ぜて焼いてあった。
私はアメリカンチェリーが好きだったが、プレーン、ブルーベリー、甘く煮たりんご、チョコレート、チョコチップ、胡桃、抹茶、チョコとプレーンのマーブルなど何種類もあった。
友人と会うときに手土産に1つか2つ買うこともあったし、明美さんには家族も食べるだろうと、あれこれ取り混ぜて4つ送った。
これは今でも店で買えるのではないだろうか。
紀ノ国屋のネットスーパーでも買えるが、見たところ品数はぐっと少ない。
紀ノ国屋インターナショナル
アンデルセンもドンクも今はもうない。
アンデルセンは2017年に、ドンクは2012年に閉店したそうだ。
ブルーベリー摘みに行ったことを書いた記事で紹介したクレヨンハウスも、2022年11月に閉店して吉祥寺に移ったそうだ。
表参道は地理的に便利だったので、他にもよく行った店はいくつもあるが、昔よく行った店が今はみんななくなってしまって、ここで紹介しても参考にならない。
せっかく読んでくださる方に申し訳ないので、次回は今でもやっているおいしい店を1つ紹介しようと思う。