ダイバーシティ&インクルージョン推進支援の現場から。転職して1年、見えてきたこと
こんにちは!
ダイバーシティ&インクルージョン推進を組織と人の側面から支援するAn-Nahal(アンナハル)のコンサルタント 井出さゆりです。
営業責任者として、企業のダイバーシティ&インクルージョン(以下、D&I ※)推進、人事、人材育成の担当者様と共に、多様な人材が活躍するインクルーシブな組織づくりに取り組んでいます。
※注釈
D&I/I&D/DE&I/DEIBなど、考え方や文脈に応じて様々な表現がありますが、現在の社会で多くの人の馴染みがあるという理由から、An-Nahalでは「D&I」をメインで使用しています。
そんな私、実は1年前までは銀行員でした!
この記事では、キャリアチェンジをして1年、様々な企業で熱意を持ってD&I推進に取り組んでいる担当者との対話から学んだこと、そこから見えてきた共通する状況についてお話します。
はじめましての方へ
大学卒業後、誰かの「チャレンジ」をサポートしたい&業界の中でもユニークな取り組みをしたいという理由から地方銀行に就職。リテールファイナンスに特化している特徴の銀行で、商品企画、BtoB営業を経験し、多様なライフスタイルやニッチな趣味に特化したファイナンス商品の販売事業に携わっていました。
・・・で、なぜ今D&I推進支援に?とよくご質問いただきます。
幼少期、日本で生活する多国籍な人々との出会いを原点に、多様な文化に触れ自分の価値観を広げることの面白さにハマり、国内における「多文化共生」への関心を学生時代から社会人になっても強く持っていました。
日本で暮らす難民の現状をSNSで知ったことを機に、認定NPO法人 難民支援協会の難民アシスタント養成講座を受講。移民・難民支援ボランティアや国際協力キャリア勉強会など、社外活動に積極的に参加するようになりました。
そんな中、An-Nahal独自開発のプログラム 多文化協働ワークショップSHIPの運営ボランティアに参加したことが、転職に至るきっかけとなります。
SHIPを通して、下記のようなD&Iの価値を知る「原体験」を得たことがターニングポイントとなりました。
次々と新しいアイデアを生み出すことができる、多様なチームのパワー
異なる価値観を持つメンバーとの対話から得られる新しい学び
意見の違いを尊重し合う心理的安全性の高い環境だからこそ、コンフォートゾーンを超えたチャレンジができる
文字面だけでない、本当の「多文化共生」「多文化協働」の実現のためには、もっと多くの人を巻き込んでいく必要があり、そのために「原体験」を多くの人に届けて、多様な文化に触れ自分の価値観を広げることを"面白い!”と捉えられる人を増やしていく。
D&I推進支援のその先の姿を実現したいという想いで、An-Nahalに入社することになりました。
と、振り返ってみると今話題の"リスキリング"や"越境体験"がキャリアチェンジのきっかけとなった訳です。
詳しくはPodcast「アンナハルのダイバーシティ&インクルージョン研究所」でお話しています。
メンバーの学び直しストーリーも、とてもユニークでおすすめです!
趣味はカレー。カレー屋さんの開拓とカレー作りが大好きです。食に関しては妥協しません。
大学時代はジャズにのめり込み、コントラバスを四六時中弾いていました。今でもたまにジャズフェスやライブハウスで演奏します。
グローバルな活動では、内閣府の国際交流事業である世界青年の船に日本青年代表として参加し、11ヵ国約150人の青年とディスカッションやプレゼンテーションを通じて、リーダーシップや異文化コミュニケーションスキルを学びました。
D&I推進支援をして見えてきた3つの共通点
An-Nahalに入社してから、数多くのD&I推進担当、人事担当、人材育成担当の方とお話をさせていただき、現状の取り組みや成功事例、そして課題についてヒアリングをしてきました。
ここからは担当者との対話から見えてきた、企業の状況についての共通点3つをご紹介します。
総論賛成各論???
「D&Iの大切さを理解している社員は大半。ただし具体的な施策の話になると現場社員とのコミュニケーションが難しい・・・」
こうしたお話を伺うことが多々あります。
D&Iについて総論賛成ではあるものの、各論になると
実務とどう結びつけたら良いか分からない
概念→自分ごと化のハードルが高い
D&Iが組織にとって必要だという"腹落ち感"がイマイチ得られない
などの声が現場から多く上がっているというお話は、業種・企業規模関わらず共通している状況だということが分かりました。
D&I勉強会や研修で言葉の意味は理解できても、具体的にどう行動に落とし込むのかを考えるためには、まずは一部の部署やチームで実践した行動をモデルケースとして他の部署に展開していく戦略的な進め方が効果的とされています。
また「データで語る」はD&I推進を経営戦略として本格的に取り組んでいる担当者からよく聞くフレーズです。
抽象的な話になりがちなD&Iですが、「収益性や意思決定に○△%の効果をもたらす」といった具体的かつ論理的な説明をすることで、現場社員の"腹落ち感"の促進を狙えます。
トップダウンとボトムアップのバランス
「経営層はD&Iに関して積極的に情報発信をしているが、トップダウン施策では現場社員の巻き込みに課題がある」
こうした状況に心当たりある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
組織のD&I推進にはトップのコミットメントが欠かせません。ただしトップダウンの施策だけでは、社員の行動変容に繋げることのハードルが非常に高くなります。
社員の自主的な行動変容や活動をサポートする目的として、ERG活動※の立ち上げや他部署との繋げ役となるのがD&I担当者の役割として効果的といえます。
大切なのは対話
これをすればD&Iは実現します!といった簡単な道のりはなく、正解のないD&I推進ですが、成功事例についてお話いただく担当者が共通して仰ることがあります。
それは、対話の大切さです。
「D&I推進への現場社員の理解を得ることに苦労していたが、時間をかけてでも一人一人の管理職やチームリーダーと対話を重ねて、現場の抱える課題を一緒に解決していったことで信頼関係を築くことができ、D&I推進部と現場の双方向の取り組みが実現した」
「アンケートや調査も大事だが、直接対話をしたことでアンケートでは回収しきれない意見や新しい発見を得ることができた」
D&Iの大切な要素である、対話・コミュニケーションの重要性を私自身も学ばせていただいたエピソードでした。
An-Nahalができること
これをすればD&Iは実現します!といった簡単な道のりはない、正解のない取り組みであるD&I推進を、各企業で熱意を持って本気で取り組んでいる担当者の言葉から、今後の日本におけるD&I推進の加速に希望を感じています。
と同時に、組織のマインドセットを変えるという大きな目標に対し、限られた人数かつ膨大な業務量の中で、孤軍奮闘されている状況の多さを課題として感じています。
私、そしてAn-NahalができることはD&I推進の伴走です。
D&IはAn-Nahalだけで実現できるものではありません。
「原体験」を多くの人に届けて、多様な文化に触れ自分の価値観を広げることを"面白い!”と捉えられる人を増やし、「多様な人材が協働する社会」を実現するためには、様々な企業と一緒に進めていくことが必要です。
経営層や現場管理職のD&Iの理解が様々なため取り組みを進めづらい
D&I推進の取り組みの効果検証が取りづらい
相談相手がいないので、日々の意思決定に不安がある
こうした課題に対し、D&I担当者の方とともに伴走していきます。
取り組みたいこと
様々な企業の事例を見てきた中で、欧米で発展してきた概念としてのD&Iが必ずしも日本企業の仕組み・文化とは合うわけではなく、組織ごとに自分たちのやり方にカスタマイズしていくことが必要であると考えています。
そのためには成功事例、失敗事例、取り組みのプロセスなどを共有できる横のつながりが欠かせません。
An-Nahalをプラットフォームとして、日本社会におけるD&I推進を形式知化するためD&I推進に現場で取り組んでいる人たちの想いやストーリー、そして知識をつなげていく役割になっていきたいです。
具体的な課題意識がある方、壁打ち相手が欲しい方、他の企業事例を知りたい方、ぜひ気軽にお話ししたり情報交換をしませんか?
正解のない取り組みであるからこそ、知識や事例を蓄積し共有することを目的にした、D&I推進という同じ目標を持つ担当者コミュニティでの勉強会やネットワーキングも開催しています。
多様な人材が協働する組織へ、一緒にD&I推進に取り組んでいきましょう。
よろしくお願いします!
An-Nahalは、ダイバーシティ&インクルージョン推進に役立つ情報とヒントをさまざまな方法でお届けしています。
また、多文化チームマネジメントやダイバーシティ&インクルージョンに関わる研修・コンサルティングを提供しています。
自社での導入を検討したいという方はお気軽にお問い合わせください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?