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おもち作品集

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#SS小説

ばけもの問答

『お題をもらって書く』より、「ばけもの」と「お鍋」で

 薪の爆ぜる音を聞いた。人の往来の絶えた山道での事である。里人に扮した男は茂みをかき分け、音のした方へと進み、そこで枯れ木のような老爺に会った。老爺は道の真ん中で火に掛けた鍋をかき回しながら、男に気づいて顔を上げた。

 ――見つけたり。

 男は口角の上がるのを抑えながら、さも不思議そうな面をして老爺を見やった。ここに人がいるわけがない。こ

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雪深いある朝の情景

『お題をもらって書く』より、「やかん」と「ストーブ」で

 泥のように眠り、刺すような冷気に目を覚ました。いつ眠ったのか、どれだけ眠れたのか、全く分からない。ただ、枕元に置かれた時計が、長年染みついた習慣通りに目覚めたのだと示していた。

 美枝子は自分の体温で温まった布団から這い出して、髪を結い上げる。部屋中が凍てつくような空気に充ちている。目に見えるほどはっきりと、吐いた息が白く広がった。

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