続・過去の出来事 「捨てていいんだよ」
悔しかったんだよ。
悔しかった。
これから仕事だと言ったにも関わらず、いきなり電話で激昂された。感情剥き出しの相手への驚き、困惑、迷惑。そして恐怖。
「自分の能力が評価されているから、あなたに仕事の発注がいったのだ」と言われ「何言ってるんだ」と思ったけれど、今思えば私も同じことを思っていた「私の力で、あなたに仕事を取ってきてあげているのだ」と。
共通の友人知人〜元を正せば私の紹介で繋がった人たちにも〜この件について吹聴したと思われる件。おそらく被害者然として。最低。卑怯。やってはいけないこと。
何の弁解もできなかった。
一方的に関係を切られた。
そして相手の言葉を鵜呑みにし、私と距離を置いた人がいた。
振り返ってみると、この悔しさの中には全部、怒りと悲しみがあった。
悔しい。
悔しい。
そして。
「もうどうでもいいことだよ」と、どこか気づいている私がいる。
「この悔しさをバネに」とか「これも大事な経験」とか、そんな言葉でうまく包んで美談になんかしたくない。憎い。成功なんてして欲しくない。あんな人間を信じる人がいるなんてあり得ない。救いがないみたいな話。ないみたいだけど、でも。それはそれでいいのかもと、ふと思う。心の中に「嫌だ」と思う、対象があることも。
すべて平らに丸く収まることが「美しいこと」と思ってた。
苦かった過去の思い出は今の糧になっている、無駄なことなど何もない。「憎い」とか「悔しい」とかネガティブな言葉は、口にすることすら良くない。綺麗に、なかったことにして、大人の顔してやり過ごせばいいんじゃないか、と。
だけど。
だけど。
思い出せば確かに胸は、痛む。痛みを抱え続けたくはないけど、感じるこの痛みは邪魔者じゃない無駄じゃない。美しくなくても、これも、大事な私の一部なんだ。
決裂した相手とは永遠に会わなくていい。
付随する関係も、もう関わることはないだろうが、全て要らない。
私の人生という空間に、自分の気に入らないもの置く場所なんてないから。
「もう捨てていいんだよ」
そうか。
捨てて、良かったんだ。
リサイクルにもどうにも使えない服は、処分するしかない。
もう捨てるばっかりだから、洗濯だってしなくていい。
それと一緒。
そのまま捨てていいんだよ。
もう終わってるものだから。
捨てるしかないんだよ。
捨てちゃえ。
全部捨てちゃえ。
はあ。
捨てて良かったんだ。
そうと分かれば。
ゴミを、出そう。
全部吐き出そう。
捨ててしまおう。
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