ネギとわたし
誰もわたしとネギを止めることはできない。
遡ること半年前。
ひとりで寂しいから、なんとなくなにかを育てようかなと思い、ベランダにプランターを置きました。
とかなんとか言いつつ放置して半年たちました。
プランターには土と肥料しか入っていません。たまに洗濯物を干しに出てはつぶつぶ生えた雑草をぷちぷち抜くだけ。なにも育てずに半年たちました。ズボラ人間なので別にまぁそれはそれでたのしいなどと思っていました。
ある日、夕飯にお鍋をしたらネギが半分残りました。
わたしはプランターに半分残ったネギをさしました。紙コップで水をあげると、ちょっとした達成感を得ました。なにも育ててないけど、なにか育ててる感。これはいい。白くて縦に長いネギは殺風景なベランダでほっそりと立ち、わたしにささやかな笑顔をくれました。
次の日もお鍋をしました。ネギが半分余りました。またプランターにネギをさしました。2本生えました。
次の日も。
また次の日も。
ネギをさす。ネギをさす。ネギをさす。ネギをさす。ネギをさす。ネギ、ネギ、ネギ……。風に吹かれてもネギがネギを支えてネギ畑がネギで密集し始めました。
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