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倍速視聴してもコンテンツに飽きると守護霊に泣きついたら、"界隈"市場が見えてきた

一緒にアハってみそ

今回のハイライト

◇一媒一題:一つのメディア内が一つのテーマで埋め尽くされる現象

◇これから役立つキーワードは"界隈"。日本人特有の住み分けの感性。
◇刺激的なコンテンツではなく"世界観"で集客する。客層は大きくないが、深く刺さるインセンティブを生み出せる。

作品を視聴者向けにジャンル分けできていないメディアは総じてオールドメディアになりつつある。
◇同じジャンルの供給が過剰すぎることを、作り手と売り手が一番分かっていない

"個"の時代というのは、パーソナルで内向的なものが栄える。
"個"の素質を発揮するテーマは、聴衆の心を攫っていくことになり、個の素質を発揮できないテーマは、人々にノイズだと受け止められる可能性がある。


🍄今回からAIさんに生成させた守護霊のビジュアルを追加しました🍄

出演する人間と守護霊

筆者の守護霊:レスリー【🌊】
筆者:アニヤハロム【💎】


アニヤハロム💎:今年の初め頃に、親がポイ活を始めてさ。職場の同僚から勧められたらしくて、ハロムもTiktok Liteのポイ活をやってるんだけど、あれさ、ヤバいのよ、自分の意識を破壊してるのよ……笑笑
何がヤバいかっていうと、Tiktokを始めてからYoutubeもNetflixも見てないことに気づいた。一本の動画が長すぎるのと、自分好みの動画や映画を探す手間がかかりすぎるからなんだよね。動画はブラウザのアドオン機能で、常に1.8倍速くらいで視聴しているにも関わらず、それすらも長いと感じるようになってた。 時間がかかるものを嫌厭しつつある自分に気がついたんだよ。
でもTiktokも似たような動画ばかりで飽きるから、最近は情報を集める検索エンジンとして使うだけで、一個一個の動画を真剣に見ることは無くなって、結果、一本も動画を見ないで毎日ポイ活だけするアプリになっちゃったわけ。スマホでポイ活画面を開いて操作をしながらパソコンを見てる、っていう日課さ笑。
もはやネット動画そのものを以前ほど見なくなった。それはNetflixやTverなどのサブスクも含めて。動画を見ないんだったら、例えば記事を書くぞって時に、積極的に音楽を聞こうと思ってSpotifyを開く。
前はSpotifyも"きちんと"聞いてたんだけど、Spotifyの再生速度を倍速にできるアドオンを発見してから、今じゃもう、ほぼ全部の楽曲を1.3〜1.5倍速で聞くようになっちゃったんだよ……。
これ、やばくねえか?笑。自分の意識が退化してるんじゃないかなって、不安になってきて……。

レスリー🌊:君としては何が不満なの?

💎:不満というか、じっくりと楽しめない脳味噌になっちゃってるのかな、と思って不安になった。かと言って、別に治さなくても不便はない、というのが現実なんだろうけど…。
自分としては何も不便はない、でも何でも倍速じゃなきゃ我慢できない、っていうのは、あまりに自然じゃない気がして、何か大事なものを失ってるのかなって感じた。
なら、何が大事なものなの?って聞かれたら、答えられないんだけど…。

🌊:不便じゃない、と感じているならば、そのままでいいと思うよ。不便だと感じた時に、何がその原因なのかを改めて考えればいいだけで。
人というのは、色々と情報を自分の中に蓄積していくうちに、だんだんと好みもはっきりしてくる。好みの輪郭が見えて、好みの内容が精巧に分かっていくほど、好みではないものもはっきりと分かってくる。今は情報過多な時だから、好みではないものに時間を使っていられない、と思えば、好みではないものを素早く検知して弾きたい、好みではないものは早く終わらせたい、と思っても、それは思考回路として、とても自然ではないかな?
しかしいくら倍速機能を使ったところで、時間を使うことには変わりがないし、好みのものを探したいという熱意を失くせば、動画から遠ざかってしまっても仕方がない。

💎:音楽に関しては元々好きだから熱意はある。毎日何かしらの楽曲は聞いてるけど、Spotifyっていうのは楽曲数が膨大なんだよ。実際のことは分からないけど、映像コンテンツより数量があるように感じる。良いと思える楽曲を探すのに、これまたすごい時間を費やさないといけない。だからサビまで飛ばしたりイントロを聞いて、好みだと感じる曲を優先的に聞いたりする、っていう対策で時間を短縮してたんだけど、それでもある時、ものすごい心の負担を感じて、倍速機能を使ってみたら、めちゃくちゃ負担が軽減された。
なおかつ、以前以上にたくさんの楽曲を聞き込めるし、知らなかったアーティストを発掘することもできる。このやり方はたくさんの音楽を知りたい自分にとって、マッチしてはいる。
例外もあって、クラシックや聖歌、民謡などのジャンルは倍速にはしない。あくまでポップスだけ。だからポップスが3分を超えると嫌になってきて、2分くらいで次の曲が聴きたいと思うようになってる。
とにかく忍耐力が落ちてる、ってことなのかな…。

🌊:これは矛盾と感じるかもしれないけれど、色々な音楽を知りたいと思って、少しでも多くの曲を聞くと、当然ながら多くの楽曲を精密に聞き分けられるようになっていく。だから、クオリティの高くないもの、君のお眼鏡に適わないものに時間をかける必要がないと思い始める。
そのため、さらに好きな楽曲を探そうと考えて、より多くの楽曲を聞こうとするために高速視聴するが、好きだと感じるまでにはタイムラグがあるし、すでに好きな曲を聴きながら、効率よく、これから好きになる曲を発掘したいと思っているから、すでに好きな曲をじっくりと聞く暇はなくなる。だからたとえ好きな曲であっても早く切り上げたくなっている。それが忍耐力が落ちたと感じる原因だろうね。
忍耐力は落ちていないどころか、今まで以上に大量の楽曲を聞く耐性がついたせいで、よりスピーディに楽曲を理解して、好みを選択しなければならない必要に迫られている感覚があるのだろうね。

💎:本当はそんなことせず、自由に同じ曲ばかり聞いたりすれば良いんだと思うけど、こんなにアーティストが豊富な時代で、昔の歌手、昔の曲しか知らないなんて勿体無いからさ。音楽に関しては、好きだって気持ちがあるから、聞こうっていうウィルもある。
んだけど、これが別の媒体になると、途端に面倒臭さと億劫さが出て、ものすごい疲労感を感じるわけよ笑。特に映像媒体は顕著。昔はアニメが好きで、一年に30〜50本くらい見ながら、昔の作品も見てた。オタクから見れば少ないだろうけど、ライト層からすると多めなのかな。でも今年は5本も見てない。見ていても途中でやめたり。特にコロナ以降、どのジャンルも退屈だと感じるようになった。映画はアニメより小さい頃から大好きで、何を見たかメモも取ってたほど。1年で200本は普通に見てたのに、それも2年前くらいから1ヶ月に一本見てるかな?程度。
確か2018年あたりから倍速視聴制度(笑)を導入して見ていたのに、そもそも見ることもなくなったという…。ドラマは2年前くらいからよく見るようになったけど、面白いものを探したいからたくさん見てるのに、見れば見るほど、共通点とかテンプレが分かってくる。ここからは傾向と対策だよ笑。
展開が早ければいいってもんじゃないのは分かるよ、遅くてもいい作品もある。けど、もう自分の心に耐久性がなくなってきてるんだよね😭

🌊:それは、じっくりと見る耐久力ではなく、分かりきってしまったものを見る持久力が続かないんだろう。知らないものが見たいから、知らないものを探して新しいものを見るのに、それがなぜか見知ったものばかり、のように感じているということだよね?それは簡単に言えば、ただ飽きている、ということだ。
知っての通り、コロナ禍以降、エンタメコンテンツは供給過多になった。需要の量に対し、同じジャンルの供給が過剰すぎることを、作り手と売り手が一番分かっていないことが問題なんだ。
視聴者や買い手は明らかにコンテンツが供給され過ぎていることを分かっている。そして、事実として飽きている
この前に書いたけれど、例えばWeb漫画における不倫モノのコンテンツなどだ。不倫ドラマやWeb漫画を読んでいる人数や客層は限定された範囲しかいない。人数の多少はあっても老若男女ではないから、増産された大量の作品を同じ人に向けて届けていることになる
でもメディア側や製作陣は数字が出ると、たくさんの人が見ているような錯覚を起こしている。一人一人のアクセスを解析する技術を持っていない企業などは、誰がどの程度アクセスしているのか知らないまま、売り上げが好調な作品のジャンルを流行だと思って、垂れ流しのように供給するスタイルが取られている。
今はメディア、娯楽媒体が多種多様になったため、動画サイトやWeb漫画ひとつとっても、頻繁に利用しない客以外は、ごくたまにしか利用しない客層になってしまう
両極端に二極化しているんだ。見まくっているか、ほぼ見ていないかのどちらかしかない、ということだよ。つまり、もはや流行を作り出すことは不可能になっていたということだ。誰も流行していると思っていないにも関わらず、メディアだけが流行していると考えている
実際、流行はどこにも存在していない。そうなると、同じテーマを扱った作品ばかりを大量に供給することは悪手でしかない。なぜなら、見ている層をさらに限定してしまうから。限定された範囲から溢れた視聴者は、さらに流動的になってしまう。

💎:テレビはこれが言えるよね。例えば情報番組を見るため、それかドラマを見るための媒体と化してて、それ以外は見られもしない番組になってしまう、みたいな。
昔はマルチなメディアだったものが、今は一つのメディアは少数ジャンルのみを扱うものになりつつある、という状況になってきてると思う。不思議なことに、どの媒体も同じ道を辿りつつある気がする。
Web漫画アプリは、不倫漫画か悪役令嬢を読むための媒体、みたいになっちゃうかもね。小説投稿サイトが転生モノを読むためのサイトになったのと同じで。少年漫画雑誌にもこの傾向が見られると思う。アニメも、人気漫画原作か、なろう系が大半になってきてる。ドラマもTverで数字が取れそうなテーマ、サブスク系なら、そのサブスク内の傾向でテーマが決まるだろうし、映画はまだ良いものもあるけど、若手役者とかアイドルの宣伝として作られるものも多い。
動画サイトやソーシャルメディアは自由に投稿できるからいいと思いきや、インフルエンサーの配信か宣伝動画しか伸びなくなってる気がする。つまり、推し活目的の道具になってる。
以上で説明した、偏った視聴傾向、特定のファンの趣向によって、一つのメディアにつき一つのテーマが原則となってしまう現象。
名付けて『一媒一題』現象が起きてしまう。
それにより、見慣れた作品群に食傷気味になり、そんな作品群に触れる、または追いかけるには倍速視聴制度を標準化しなければならないジレンマに陥る、というわけですな!笑。
とはいえさ、エンタメなんて、あってもなくても、直接的に生活には困らないものだから、好きなものがないならないで大丈夫、って話になっちゃうんだけど、やっぱり何かには触れていたいという気持ちも捨てきれない。

🌊:既存のメディアでは、一媒一題の傾向は加速するだろうね。テレビやラジオ、サブスクを含めた動画サイト、電子版も含めた雑誌小説の紙媒体など、前からあった体系のメディアは、総じてオールドメディアになりつつある。
何がオールドなのかというと、それはひとえに、作品を視聴者向けにジャンル分けできていない、というところにある。
テレビなどはその最たるもので、媒体の仕組みからして、放送番組を視聴者ごとに区切って見せることができない。放送時間帯を変えるくらいがせいぜいだ。電子版も紙媒体も、陳列棚には無作為に商品が並んでいるような状態で、店にはあらゆる人が買いに来る、という状態が起こる。動画サイトやサブスクは一瞬、クローズドな場所に思えるが、視聴数で次回作の傾向を模索している点では、他の媒体と変わらないため、客層はやはり限定される。
そうならないためには『界隈』、このキーワードが役に立つ。これは英語などにはない、日本人特有の住み分けの感性だと思うよ。同じ家に住んでいるが、居住空間は襖や障子で仕切られている、という長屋暮らしのようなスタイルは、数字至上主義に歯止めをかけられる力を秘めている。
界隈は、要するに趣味合う人同士が集まる場所、同じ考えを共有する場所、という意味で使われる。同じSNSなどで発信をしていても、活動をする階層は微妙に異なっている住み分けのできている状態ならば、安心して自分の好きなものだけを見ていられるということだ。
そのため、例えば新しい動画サイトを立ち上げるとする。その時、誰でも自由に投稿はできるのだが、サイトの運営側は、ターゲットごとに界隈を設定し、界隈ごとにトップ画面を作ったとする。若い女性を視聴ターゲットにしている界隈であれば、それを明確に示すような、サイト企画だったりレコメンドだったりUIにしたとしたらどうだろう?年配や男性の視聴者はその界隈には来ない。その界隈だけには、若い女性が好むコンテンツが充実することになる。
誰もがクリエイターにはなれるが、界隈の種類を選ぶことを運営側が要求することになる。タグなどの特定のキーワードなどで、関連動画を表示するようにしてもいい。界隈ごとの動画数は膨大にはならないが、使う人のほぼ全員がどこかの界隈に属すことによって、彼らに頻繁にそのサイトを利用させることができる
なぜなら、このサイトなら自分の”好き”が必ず見つかるからだ。
刺激的なコンテンツで集客するのではなく、世界観で集客する。客層は大きくないが、深く刺さるインセンティブを生み出せる

(偶然なのですが、この記事を書いた後、「界隈」が流行語にノミネートされたことを知りました。みんな、界隈、使おう!😂)

💎:なるほど。結果的に特定の界隈の中で、大量消費することにはなるかもしれないけど、コンテンツ一つ一つをきちんと時間をかけて見てもらえる機会は増えるシステムになってるね。好きなものだらけだから、サイトやアプリを利用する時の不快感もないし。
Discordは、今だったら一番住み分けが成功しているサービスな気がするな。サーバーのシステムを取り入れたことで、同じ趣味を持ったグループでも楽しめて、個人で連絡を取り合うこともできる。実際、ハロムも一時期は楽しんで使ってた。他人と会話するのが苦痛になってやめちゃったけど笑。
Tiktokは視聴傾向で好みの動画がレコメンドされる、つまり界隈動画を勝手に勧めるって謳ってるけど、Tiktok Liteやると分かる。素人の動画を見せるのはオマケで、メインは企業広告を見せることだから、次第に動画自体を見なくなるせいで、”好き”は絶対見つからない笑。
マスに向けて何かを提供する時代はもう完全に終わったんだね。よりニッチでローカルなものが、いい意味でも悪い意味でも、人の欲を獲得していくのかも。
でもとりあえず、長いものが我慢できない問題と、コンテンツを大量消費する→疲れて見なくなるループの理由は分かった。短くないと耐えられない、の原因は脳の報酬系ってこともあるけど、ビジネスのシステムが原因とも言える気がする。

🌊:人間というものは群衆で存在しているわけじゃないからね。個の時代というのは、パーソナルで、区切られていて、内向的なものが栄える。ある意味では、不倫モノに人気が集まるのも、不倫はとても親密な関係性の中で起こり、家庭的だから外から見えにくく、自分の心の中だけで様々な感情が渦巻く出来事だから、非常に個人的なものと言える。
こういった個の素質を発揮するテーマは、聴衆の心を攫っていくことになるだろうね。逆に個の素質を発揮できない場所やテーマは、人々にノイズだと受け止められる可能性があるということでもある。
住み分けのない混沌としたメディアを見続ける必要はないよ。
しばらく好きなものを探すことを止めてみたら、好きになったことのなかったものに目が留まって、初恋が始まるかもしれないよ。

💎:初恋ぃい~?!恥ずかしいからやめてそういうの😂😂😂


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