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健康の秘訣:Anizine

コロナ全盛期に、どこにも出かけられないストレスから都内のホテルを泊まり歩いていました。遠くに出かけるという行動はどれだけ平常心でいても精神に変化をもたらすもので、私は「ドレッシングを撹拌する」と表現しているのですが、あのふたつの液体の層がセパレートして「向こう側のことは関係ないからね」と対立しつつ安定している二大政党的なムードが嫌いなのです。

ドレッシングのボトルが自分の本体だとしたら、二層に分かれて安定している状態は好ましくありません。それは強引に本音と建て前のように喩えることもできそうです。あのボトルを振って混ぜ混ぜしたい。だって均等に混ざった状態で料理にかけるんですから、本来はあれが正しい姿でしょう。

外国のホテルで朝、「ここはどこなんだろう」と思って目が覚めるのが好きです。たとえ外国に行けないとしても毎日同じ場所にいるのは嫌だ、という気持ちを抑えるための折衷案で、渋谷区、港区といった近所のホテルを泊まり歩いていました。レセプションで住所を書いていたとき「うちのホテルと番地がひとつしか違いませんね」と不思議な顔で言われたことがあります。仕事場から徒歩8秒のところにあるホテルですから仕方ありません。

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Anizine

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写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。