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テニスと写真:写真の部屋

デザインは、放置しておけない問題を解決する作業で、アートは、誰からも気づかれずに放置されていた未解決の問題を見つける作業、だと言えます。

こういう話はとても大事なので簡単には話さないようにしています。相手も選びますし、もし話すとするならば「二泊三日」くらいの気持ちでないとできません。デザインは商業活動で、アートは創作活動、と雑に分けてみても始まりませんし、境界線も曖昧です。横尾忠則さんはグラフィックデザイナーからアーティストに転身しましたが、彼のやっていることの本質は大きく変わってはいないような気がします。

表現のコアのようなものはあまり変わらないのでしょう。私も毎日カメラを持ってシャッターを切っていますが、それがクライアントやモデルがいるスタジオであっても、駅前の商店街であっても気持ちは同じです。難しさで言うと正解や着地点があるだけ簡単とは言いませんが、仕事のほうが安心感があるのは、ここまでいけば大丈夫だとそこにいる全員が思えればいいゴールが見えているからです。

それと比べると無目的に駅前の商店街を撮ることは苦痛をともないます。何が目的なのか、どうなれば完成なのか、何もわかりません。それでいいかどうかは自分が決めるのです。誰かの助言などは1ミリも役に立ちません。サッカーや野球などでは選手が動き回っているところに監督やコーチが大声で指示を出しています。アメリカンフットボールではベンチと選手の間に無線が通じていて指示が出るのでその通りに作戦を遂行すればいいのですが、それができないスポーツもあります。

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写真の部屋

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人類全員が写真を撮るような時代。「写真を撮ること」「見ること」についての話をします。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。