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補充法の発生原理

補充法(suppletion)という文法用語がある。
英語のgoodの比較級がbetter、最上級がbestになるような不規則な形態法のことで、大まかにいえば基本形から予測できない変化・派生形を指す。
補充という名は別起源の形式が補い合って変化形や派生形の代わりのようになっていることに由来する。

goの過去形がwentになるのも好例だろう(過去分詞goneの語幹はgoと同一)。これはgoの現在形goとwendの過去形wentが混合したことで生じた。
better, bestもよく見ると-er, -est自体はついているので、goodとは別の語の比較級と最上級が混合した形となっている(betterとbestは同源)。

こうした現象は学習者の注目を集めやすい。
よって言語学的な詳しい解説を試みたいところだが、残念なことに学者からの注目度は必ずしも高いとはいえないようである。
それはもちろん、発生が散発的な上に他の要素からの独立性が高く、発生原理や体系的な位置づけが困難だからだろう(堀田2013-08-24参照)。

しかし、学問においては不確かなことを保留にしておく勇気も必要だが、同時に未知への探究も不可欠である。
ゆえに全貌の解明は困難であるにせよ、そんな補充法の発生原理の手がかりを探ってみたい。



補充法を生み出すもの

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