ラテン語の方言を探して1
言葉のパラレルワールド
ラテン語にはどのような方言があったのだろうか?
そもそも方言と呼べるようなものはあったのだろうか?
そんなテーマに時々思いを馳せることがある。
資料の制約もあり、答えを出すには課題が多い。
しかし手がかりは皆無ではない。
今回は言語史と音形を頼りにその道標を探ろう。
方言というものは一種のパラレルワールドといえるかもしれない。
言語に起こりえた別の変化の可能性を伝える証である。
古代ギリシャ語との対照
一般的にラテン語は方言差が少ないといわれる(中山2007, pp.14-15)。
少なくとも古代ギリシャ語に比べればその印象は顕著だろう。
古代ギリシャ語の方言区分にはいくつかの説があるが、前5世紀頃を中心とした都市国家時代についていえば、
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