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詩集◉ニルヴァーナ

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言葉も使って、竿の先へ。竿の先からジャンプできるかどうかは、縁次第。
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2024年7月の記事一覧

◉詩/国語の授業

◉詩/国語の授業

国語の授業

お祭りの準備だろうか
あるいは
戦争のしたくか

ブルーシートで覆われた歩道が途切れて
ふと顔を上げると
妙に世界が黄色っぽい
アレ、目が変だ…
不安になる一歩手前で
補色残像のフィルターだよ
と理解が追いつく
思考が助けになることもあるけど

そうか
うつむいて歩いてたんだ

義務教育を受けていた頃
国語の成績がすこぶる悪かった
問 : 太郎の気持ちを次の中から選びなさい
って聞か

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◉詩/バランス

◉詩/バランス

バランス

古着屋で800円で買ったジーンズ
膝から下を切り落として
暑過ぎる夏の ハーフパンツにした
左右の長さが微妙に違うけど
バランスなんか気にしてられない
左右の目の開き方も違えば
眉の高さだって違う
そういうもんだ

沿道の 氷の彫刻
完成の一瞬に届かぬままに
溶けていくから詩が流れ出す
丈夫な人で社会をまわして
壊れている人が詩を紡ぐ
そして、

丈夫な人が壊れそうな時に
その詩をさっ

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◉詩/ニルヴァーナ あるいは言葉の向こう側へ

◉詩/ニルヴァーナ あるいは言葉の向こう側へ

ニルヴァーナ
あるいは言葉の向こう側へ

意味について
言葉で伝えようとする その無意味さ、
という意味を生じさせてしまう
ジレンマを抱えながらも
それでも伝える、を選択するのは
そのジレンマが
次元への感受性の未熟さに過ぎないから。

物理的な痛みは
甘んじて受けるしかない
時折襲ってくる、強い恐れも
脳のメカニズムに変調をきたした結果としての表れ
その耐え難きを
道端にうずくまって堪(こら)え

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◉詩/原野2

◉詩/原野2

原野2

夢と知りながら
生き残る算段をしてみたが
奴隷労働で
生きているためだけに生きていくのは
もう無理だった

突然 重心が消えて
胎盤から零れた
左右のない世界を
どこまでも落ちていった
(それとも昇っている?)

自分で決めた方向を見失い
よるべきものが何もない
私の家はどこ?

壁に耳をあて
吐息をさぐるように
息をひそめた深海
その時
最古の聖典よりも古いものが
すっくと立ち上がった

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◉詩/息について

◉詩/息について

息について

息は
自らの心 と書く

全ての声は吐息に乗る

吐息は
汗や
うんこのように
少し前まで肉体の構成要素だった

呼吸、と一言で済ますけれども
吐く息と吸う息は
似て非なるもの

息とは
本当は吐息のみを表していて
吸う息は大気だ

その大気に
全ての息ものの吐息が紛れている

かくて肉体を回転扉として
陰は陽に、陽は陰に転じている

2024年6月

◉詩/コイン

◉詩/コイン

コイン

見えているこの感じ
聞こえているこの感じ
触れているこの感じ
この感じの全てが
私だけのクオリアであることから
世界は私の反映である、
それを、世界は私であるとも言い
世界には私しかいないとも言う
その時
私が私である必要性が消失する

髪の毛の一本一本から
心臓から
思い出から
何から何まで全て与えられた

私すら、
私というこの感じすら
借り物である
その時、

私を嫌いなあなたも同

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◉詩/涙

◉詩/涙



まだ殺すのか

人間の持つ人間性に失望している
宇宙全体が一つの神、
あるいは命だと知っているので
人間をこのように運行している神、
あるいは命にも失望している
神あるいは命が
自身の性質に失望している
そんな世界の中で
傷つけられて流れた涙の中に、ある時
報復せず
憎しみの連鎖を断たんとする、
辛抱の萌芽を見て
神あるいは命は
自身に初めて希望を持った
たとえそれが
太古の雨の最初の一滴の

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◉詩/恩寵(おんちょう)

◉詩/恩寵(おんちょう)

恩寵

時間が解決してくれる

これは本当のことです
100年たったら誰も知りませんから
よしんば あなたが
チベット仏教の徒として
輪廻転生を頑なに信じていたとしても
ダライ・ラマ14世はこうおっしゃっています

13世だった時のことは覚えていない。

相手が悪いのにあなたが負けたままでも
わかってもらえないままでも
ひどく誤解されてしまったまま別れても
あやまれなかったことがあっても
想いを伝

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◉詩/とぼとぼ歩いた

◉詩/とぼとぼ歩いた

とぼとぼ歩いた

左遷されて
帰り道、
とぼとぼ歩いた

リストラされて
帰り道、
とぼとぼ歩いた

降格後に嫌がらせされて
帰り道、
とぼとぼ歩いた

とぼとぼ歩いた
とぼとぼ歩いた
とぼとぼ歩いた

心底ガックリきて
起き上がれずに
何もしないでいたら

たった一つだけ
死ぬほど知りたかったことが
わかり始めた

生きていてよかった

2022年6月

◉詩/対立

◉詩/対立

対立

上限は神で、下限も神で
神だけが現前していた
沈黙とは常に神の沈黙だった

この意識が、神そのものだった
この世界が神だったのだ

世界は色づいておらず
白黒かどうか
明暗があるのかどうかさえ分からない
そもそも色彩の概念がない
目を持つものを通して初めて
そこに
着色されたクオリアが浮かび上がる

だからと言って、僕らは
むき出しの世界には触れられぬのだと嘆くな
この肉感こそが
僕らにと

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◉詩/総意

◉詩/総意

総意

故意に力を加えなくても
変化していく
それ自身の力で寄せるのではなく
もっと大きなものに後押しされている

誰に何を知られなくてもいい
何者かになろうとすることをやめて
自由になる

私は元々いなかったのだし
そしてまたいなくなる

一人に一つずつの命ではなく
一つの
同じ命がある
人はこれによって生き
水はこれによって流れる

そのほかのことは
何もない

2006年12月