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戦乱の邪馬台国の(やまたいこく)

◆この日本を作ったのは誰? 卑弥呼女王の石棺/幻の邪馬台国 前篇

 弟の摂政が、日美神社(ひみじんじゃ)の別宮に参内し、ヤマト侵入の急を知らせました。
 「姉上様! 早くおにげください。ヤマトの連中が迫っています。」
卑弥呼は絶句した。
 「吉備の麻呂の軍はどうしたのじゃ。なぜこうもたやすく、ヤマトの侵入を許したのじゃ。」
弟の摂政
 「その吉備の麻呂が裏切ったのです。私にもあの勇猛で誠実な甥の裏切りは、いまだに信じられませぬが・・・
 すでにわが邪馬台国(やまたいこく)の軍の大半が、ヤマトに寝返った吉備の麻呂についたため、状況は圧倒的に不利です。
 物見からの報告では、ヤマトが陸の3方向から。さらに海にも、東からヤマトの軍船が押し寄せているとのことです。もう、ここも防ぎきれません。姉上様は早く、この奥の"天岩戸"(あまのいわど)にお隠れくださいませ。"ヒカリの神"たちが、中で姉上をお待ちしています。」

卑弥呼
 「なんということ! 不覚であった。吉備の麻呂の裏切りを、少しも感知できぬとは・・・」
弟の摂政
 「脱出できた吉備の間者からの報告では、闇の長者が頻繁に吉備の麻呂の宮殿を訪れ、寝返り工作に動いていたとのことです。姉上様が無事に御隠れになられますように、天岩戸の入り口は12使徒達に死守させますので、ご安心を。また、すでに神殿の帖佐一族のものたちには、"三種の神器"と"復活の御書"を持たせて、淀江の津からの緊急の船出を指示いたしました。」
弟の摂政
 「私めは、妻木晩田(むきばんだ)の都城に立てこもり、ヤマトや裏切り者の吉備の麻呂に、決死の戦いを挑みます。姉上様とは、これが今生のお別れになるかもしれません。
 しかし、帖佐一族のものたちさえ生き延びてくれれば、いつの日か必ず姉上様をお救いできる日が来るはず。それまでのご辛抱です。もう時間がありません。姉上様、おさらばです。不徳の弟を、お許しください・・・」

 そして、弟の摂政は、あたふたと倭のクニの経済首都でもある邪馬台国(やまたいこく)の妻木晩田(むきばんだ)の巨大な都城に向かって、軍を率いて出立しました。

 敵の配置は、西からは吉備方面から山越えして日野川(ひのがわ)をくだってきたヤマトの第二軍団。東からは、船団を伴い倉吉方面から西進してきたヤマトの主力の第一軍団。
 そして、南の大山丘陵には、裏切り者の吉備の麻呂とその配下の旧・邪馬台国(やまたいこく)の反乱軍が展開。

 唯一の逃げ場となった北の淀江の津では、朝鮮からの交易船に、卑弥呼の側近の"帖佐一族"の主だったものが乗り込み、早く船出しようと悪戦苦闘していました。目的地は、卑弥呼の勢力がまだ温存されていた九州北部の博多の津。最終的には、そこからさらに陸路を伝い、帖佐一族の隠れ里の大分の宇佐や、鹿児島の一族の旧本拠地に逃れるつもりでした。


 吉備の麻呂とその配下の旧・邪馬台国(やまたいこく)の反乱軍ですが妻木晩田(むきばんだ)の都の巨大な城を目前にして、進軍は停止したまま。ほとんどの兵士たちは、勇猛な将軍の吉備の麻呂に従いはしているものの、真の生き神様として数々の奇跡をなしとげた女王・卑弥呼を畏怖し、邪馬台国(やまたいこく)にもまだ誇りを持っていました。
 そして、その卑弥呼の都を目前にするとにわかに戦意がなえ、中には脱走するものも。また、ヤマトの軍団の兵達も、初めてみる超巨大な妻木晩田(むきばんだ)の都城に気おされて戦意喪失気味。

 「なにをしておる。あとひと押しじゃ。攻めかけろー」
 突如、軍馬に乗り現れた闇の長者の配下の夜叉麻呂は、吉備の麻呂やその配下の軍団のふがいなさに激怒し、叱咤します。 
吉備の麻呂もすぐさま反応し、
 「者ども! 進軍じゃ! 総がかりで城を攻め落とせー。 犠牲はいとうな。城内の女も宝も略奪し放題じゃ。攻撃せよー。」

 夜叉麻呂と吉備の麻呂の必死のゲキ。さらに、女と財宝の欲望刺激効果てきめん。「もう邪馬台国も終わりだ」と観念した貧しい兵たちの目つきも一変し、津波のごとく城に攻め寄せました。

 しかし 妻木晩田(むきばんだ)の都の巨大な城は、朱蒙(チュモン)によって建国されたあの高句麗(こうくり)から渡来した石工達の指導で作られた堅固な石組の城であり、広い城内には 充分な兵量と兵士がおり、さらに、都にのみ配備された防御兵器の強弓(高句麗から伝来)の威力はすさまじいものがありました。
 城壁に近づくと、すぐにこの強弓のエジキになり、攻城の兵達がバタバタとなぎ倒されてゆきます。これだけの防御力があると、当時の倭のクニの軍隊の原始的な攻撃力では、この大城郭の攻め落としは並みたいていのことではありません。
 総攻撃を続ければつづけるほど、ヤマト側連合軍の損害は極めて甚大なものになってゆきました。このままでは、各地の邪馬台国(やまたいこく)の残兵が再集結して、形成が逆転する恐れがあります。

 しかも、沖合に停泊するヤマト艦隊からは、「都はまだ落ちぬのか!」と連日の催促が。艦隊は、城からの火炎弾攻撃を恐れて接近できません。
 「うむー。このままではイカン。なんとかしなければ・・・」
 めずらしくあせる夜叉麻呂。最強の戦闘マシーンの夜叉麻呂とはいえ、高さ10mの城壁を越え、数千人の強弓や火炎弾と戦うには力不足は歴然。
 打つ手に困り、吉備の麻呂達と攻め方を相談しているときでした。

ひょんなことから、吉備の麻呂の幕僚のひとりが、女王専用の秘密の抜け道の噂話を明かしました。 
夜叉麻呂「なに! 女王専用の秘密の抜け道とな。」


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 マーヤとアラシ (邪馬台国の使者)

     -目次-
第 1章 みにくいアヒルの子
第 2章 戦乱の邪馬台国の(やまたいこく)
第 3章 アラシの誕生! 虐待の日々
第 4章 30年後の未来世界「ノアの箱舟計画」
第 5章 アラシとヒメカの受難
第 6章 12使徒の守り神
第 7章 マーヤの恋
第 8章 トンネル工事現場の事故
第 9章 こども芸能大会 淀○さんこ節(ぶし)
第10章 最強の敵! 闇の長者
第11章 アラシの秘密
第12章 古代の遺跡の探検
第13章 アラシの悲しいさだめ
第14章 "ヤマタのおろち"と草薙剣(くさなぎのつるぎ)
第15章 ヒメカの涙
第16章 "天の真名井(あめのまない)"の母子
第17章 女王・卑弥呼(ひみこ)の目覚め
第18章 さよなら マーヤ


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◆この日本を作ったのは誰? 卑弥呼女王の石棺/幻の邪馬台国 前篇

◆この日本を作ったのは誰? 卑弥呼女王の石棺/幻の邪馬台国 後篇

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