君と歩く

 ツイッターに掲載した小話です。Twitterの1ツイで一瞬で読んでもらえる気軽な小話は書けないものかと……基本は長く書く方が得意(楽)なのですが。


レンティアに居る時は、カイはイシュルを伴ってよく海辺の街を歩いた。
「カイさまー」
「おートキ。どーした?」
 赤毛の少年がカイにじゃれついてきた。
「こないだ、剣を教えて貰いに、お館いったら、カイさま、いなかったー」
「おお。悪かったな。みんなして、牧羊犬みたいにオレをこき使うから、滅多に館にいないんだよ。オレがいなくてもイシュルに教えて貰え?」
「この綺麗な人に……?」
 子供ながらに、うろん気に少年に見上げられる。
「そうだ。イシュルはオレと互角にやる。いい腕だぞ」
「イシュル、強イヨー」
 三人の頭上で、鸚鵡のルシエルが羽をパタパタさせている。
「カイ様くらい強いの? ホント? イシュル様、オレに剣を教えてくれる?」
「互角はカイの盛り過ぎだけど、稽古の相手くらいなら」
 人に剣を教える、なんて、イシュルは未経験だけど。
「じゃあ今度教えてーイシュル様」
 初めてのことだらけで、世界はできてる。
 それは、とても楽しい。

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