海からの手紙(イシュタルより)
「海賊王子と初恋花嫁」(著 須王あや 角川ルビーコレクションより発行)の小話です。
「ねぇ、そこのあなた、レンティアの貴公子をお見かけしなかった?」
「麗しのロクサーヌ侯爵夫人、残念ながら、私はお見掛けしておりません」
「そうなの? では、見かけたら、この私がお探ししてると、きっとお伝えしてね。私、あの方の歌が聞きたいの」
「心得ました。それは私もお聞きしたい。悪戯な精霊の娘たちの心さえ蕩かすと伝えられるレンティアの若君の歌ですよね」
「そうでしょう? 今夜こそお逢いできる