退院の日
鉛色の雲が厚く空を覆っている。
いつ泣いてもおかしくはない。
やはりと言うか案の定、昨夜は寝つけなかった。
『不安』
現実と直面する。
実家に帰った所で私の荷物は何もない。
部屋もとうの昔になくなってしまっている。
仕事も今は出来ない。
0いや病気の事を考えたらマイナススタートだろう。
あはれなり わが身の果てや あさみどり つひには野べの 霞と思へば
小野小町
あはれだ、私の亡きがらは荼毘に付せられ、浅緑色の煙となって立ち昇り、お終いには野辺の霞になってしまうと思うと。
朝には片付けの全てが終わってしまった。
あとは待つのみ。