淹れたてのコーヒー、昨日という日のいくつかのランドスケープ
コーヒーを淹れながら
外を眺める
高層ビルの分厚いガラスは
雨音を遮っている
カップから立ち昇る湯気と
ビルの海が霞むように見える
霧散する雨がなんだか
きれいで
昨日、ぎこちなくさした
一本だけの傘
『濡れたらいけないから』
とかこつけて
引き寄せると
『ほんとだね、近い方があったかいね』
とかみ合わない返事が
やってきたけれど
なんだかそのぎこちなさが
かえって同じ気持ちの確認のように
感じた
ほろ苦く、良い香りのする
淹れたてのコーヒーは
余韻を残して
僕のなかに消えていく
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