機微は川面に映る家々のあかりと同じ数だけ揺らいで見えた
浮かぶまま、思い出すままに
自分のために
◇
昨日いた場所と今日いる場所が
違っていても私は相変わらず
私のままでいる
就業時間が終わっても
終わった気がしないのは
終わらないことが多すぎるから
やり残したことを積み残すうちに
全部がどうでもよくなってしまうのが
私はとても怖い
やり残したことを積み残すうちに
大事なことを忘れてしまうのも
私はとても怖い
それなのに毎日モヤモヤとこんなことを
考え続けるのは一体何故なんだろう
セミやスズムシが鳴いているのに
それがどこにいるのかまるで
分からないのとおんなじだ
きっと大抵の人は気にならないんだ
◇
今日はいつもの場所で野良猫が大集合
よるのアスファルトを独り占めしてる
みたいな顔で一瞥される
マダニにやられた茶色も
サークルを描く白色も
ベンチでだらしなく寝る黒白も
何だか今日はよそよそしく
遠ざかっていった
◇
いろいろなことを知るとかえって
怖くなることがある
命のことや、体の仕組みのこと
何かに定義をつけること
それらは誰かが抱えながら
折り合いをつけたり
受け入れたりしていること
それなのにそれとは関係のない
私が怖くなるのはとてもとても
良くないことだと思う
それなのに怖くなることを
抗えないでいる
◇
21時を過ぎた
今日の私はあと3時間
あと3時間で何ができるだろう
あと3時間で何をしないといけないのだろう
タイミングよく青になって
止まらずに渡ることができた
高速道路下の道
右手を横に広げたその先に
スカーフェイスの月がいて
雲間に入ったり出たりする
それって何のメタファだろうと
すぐに何かに結びつけることは
今はしたくないから
ひとことだけ声に出してみる
『ねえ』
たんなるにっき(その51)
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