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オポチュニティの生涯

赤子が指を咥えて膨らむ赤い頬
月に吠えることなく甘えた声で寄せる猫の頬
流れる川は総体としてどこまでも続く均一の波

履き揃えられた靴にはいつも意思が宿る
当たる爪の硬さから伝わる不安を
心臓に一番近いところについた
シャツのボタンは受け止める

車窓から見える降りたことのない駅
遠くの建設現場のクレーンは止まっている
そうか今日は日曜日
それでも流れる街もひとも恐らくは続く時の刻み

空を見上げることが減ったのに
鳥を見つめることが増えた気がします
未だ何者かになりたいと
思っているからなのでしょうか

風切りは眩しく秋の日もまた明るい
と思わされるのです
三和土に整然と揃えられた靴をみても
擦り切れた踵は見えないことでしょう
何者かになるとはそういうことじゃないかしら

静寂を穿つ赤子の泣き声が時を動かして
衣替えがままならずとも猫は冬毛を蓄え始める
流れる時は有限で不均一であったとしても
今だけは平等に与えられたものだと思い出す

どうしてか同じことを新発見のように
何度も思い出して思い返してしまう


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りよう
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