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フルカウル・フォグライト

暗がりのなかで
明滅を感じた
眼には波紋が拡がる

もう3日連続で
夢の続きのまま
朝を迎えた

おわりに向かい進むなか
先に逝くひとを見送り
おわりに向かい進むうち
どんどんひとりになる

夢はいつもはじまりが曖昧で
明滅のうち誰も通らない方を
選びながら始まってゆく

夢はいつもおわりが曖昧で
朝霧の只中のように
私は現実を見誤りそうになる

おわりに向かい進むなか
先に逝くひとを見送り
おわりに向かい進むうち
どんどんひとりになる

こんなことをしている場合ではなく
こんなところにいる場合ではなく
どんなところもそこではない

ヨーイドンと駆け出した子らは
声が聞こえるうちに
朝霧のなかに先にいなくなった

そうじゃないんだ

寝返りで夢は変わらず
天を仰いで今は変わらず
おわりは近づいてくる

先に逝くひとはいと惜しく
会えぬままのひとは愛おしい
明滅は枕元で聞こえる心音と
同じリズム

どんどんひとりになると
じぶんの音ばかり聞こえて
どうにもよくない

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りよう
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