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ピース・オブ・ウィルダネス
一片の雪が一枚の葉を落として
耐えた枝が風になびきながら
ひとつの蕾をつける
雨混じりの雪が覆い被さって
枝とともにしな垂れ耐えて
音を立てて吹くいくつかの風のあと
雪混じりの雨は有耶無耶の空
さらにまた風は吹いて
吹いた風のあとは思い出したように
あたたかい
この時期はほんとうにたくさんの風が吹くものだ
騙されたような希望という景色
雪が溶けるように
水鳥の群れは陽射しの中を南へ行く
とまどいは微塵もないのだろうよ
あらゆるものが息をして
湖畔には波紋がうまれる
期待のあとさきを怖がって
蕾のまま幾億光年を過ごそうとしても
膝を抱えた一片の花弁が疼いて
どうにも胸が痛んで仕方がない
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